レジデンス成果発表展
A Scoop of Light
トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2021 成果発表展
目まぐるしく更新される情報と技術の向上により、物理的距離を凌駕するかのように速く動いていた日常が、突如停滞した社会へと一変しました。図らずも世界がパンデミックにより一つとなり、同時に分断されたのです。
世界各地の提携機関とレジデンス・プログラムを実施しているTOKASでも、2020年はこれまでとは違う時間を過ごす1年でした。
今回紹介するアーティストたちは、移動や物理的な交流を制限された状況下において、それぞれ異なる条件でプログラムと関わり、本展への参加となりました。
本展に参加するアーティストたちは、社会のはざまに埋もれていたかもしれない現実に照準を合わせ、そこに光を当てることで、実際にいま私たちが暮らす世界に何が起きているのか、どう対峙していくべきなのかを探り出そうとしています。異なる社会で生きる人々の声に耳を傾けたり、自身の身の回りの気づきを紡いだりした彼らのさまざまな経験が、作品として共有されることで、新たな明かりを灯すかもしれません。
彼らが灯した一掬いの光によって、私たちがこれまで目を向けてこなかった世界―分断や明確な境界がなく、私たちからひとつづきのところにある場所―が可視化され、眼前に示される。そこには何もなかったのではなく、見えていなかっただけの事実が、光を受けて空中に漂い煌めく塵のように現れ、私たちを取り巻いていたことに気付かせてくれるでしょう。
開催概要
タイトル | トーキョーアーツアンドスペース レジデンス2021 成果発表展 「A Scoop of Light」
|
会 期
| 2021年7月3日(土)- 8月9日(月・祝)※6月26日(土)- 8月9日(月・祝)の会期が変更となりました。
|
時 間 | 11:00-19:00 |
休館日 | 7/5、12、19 |
---|
会 場
| トーキョーアーツアンドスペース本郷
|
---|
クリエーター | 船井美佐 菊地智子 Yuju ユリアン・ヴェーバー バディ・ダルル
|
入場料
| 無料
|
主 催 | 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペース
|
提携機関 | クンストラウム・クロイツベルク/ベタニエン、ベルリン市(ドイツ)、セマ・ナンジレジデンシー(韓国、ソウル)
|
《Paradise / Boundary : Somewhere not here》 2019
船井美佐|FUNAI Misa
二国間交流事業プログラム<ベルリン>
※新型コロナウイルスの影響により派遣中止
当初計画していた「ドイツの視点から日本を考える」ために、
これまで蓄積してきた思考の断片を、さまざまな素材を用い
てインスタレーションに表します。個人的な家族の記憶と経
験からくる衝動をもとに過去から続く時間、歴史、文化、アジ
アの近代化、女、家族、社会、生に関する考察とそれらの未
来について考えます。
《Undulation on the borders》 2021
菊地智子|KIKUCHI Tomoko
二国間交流事業プログラム<ソウル>
滞在期間:2019.5–7
滞在場所:セマ・ナンジレジデンシー
過去のトラウマや、それを乗り越えどう生きるか、他人の苦
しみをどう分かち合うかを主題に、韓国在住の移民や、
移民と中国人の両親のもとに生まれた子供たちの物語をとおして考察するマルチスクリーンの映像作品を展示しま
す。新型コロナウイルスの影響で韓国から移動できなくなっ
た菊地が、現地での交流を進めて新たに発見した「境界」や
「分断」を考察します。
《記憶された揺動》 2020
Yuju
二国間交流事業プログラム<ベルリン>
滞在期間:2020.10–12
滞在場所:クンストクアティア・ベタニエン
派遣先のベルリンで、自らが経験したアジア人差別をきっかけに
この問題に向き合うことを決めた Yuju は再度ベルリンに活動拠
点を移し、社会問題を直視する作品制作に取り組んでいます。
本展ではベルリンを拠点に活動しているアジア人権団体 MetooAsians をとおして、ドイツ国内で表面化するアジア人差別問題に
スポットを当て、その差別の現実を社会に訴えかける映像作品
を展示します。
制作協力:Metoo-Asians
《the bony labyrinth vol. 2》 2018
ユリアン・ヴェーバー|
Julian WEBER
二国間交流事業プログラム<ベルリン>
滞在期間:2021.1–3
※オンライン・レジデンス
美術とパフォーマンス・アートが交差する独自の作品制作を
行っているヴェーバーは、「地球外生命体に向けた求愛ダン
ス」というテーマに取り組みました。本展では撮りためたビデ
オ・クリップをもとにフェイク・ドキュメンタリーを発表します。
制作協力:MIRA新伝統
《A country without a door or a window》 2016-
バディ・ダルル|Bady DALLOUL
芸術文化・国際機関推薦プログラム
滞在期間:2021.2–6
滞在場所:TOKASレジデンシー
ダルルは、想像と現実を結びつけ、テキスト、ドローイング、
ビデオ、オブジェなどを用いた作品を通じて、社会、政治、歴
史における重要な問題を提示しながら、個人史や物語を織り
交ぜた歴史編纂に挑戦しています。本展では東京在住のアラ
ブ圏出身者へのリサーチや、異邦人としての視点から見えてく
る表象としての日本や祖国をもとにした作品シリーズを展開し
ます。
協力: ヴィラ九条山/アンスティチュ・フランセ日本
関連イベント
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オープニング・トークは実施いたしません。
アーティストインタビュー
展覧会ハンドアウト
デザイン:杉原洲志
PDF:8MB
参加クリエーター
バディ・ダルル
船井美佐
菊地智子
ジュライ・ヴェーバー
Yuju