リンジー・ワルシュ

レジデンス・プログラム

リサーチ・レジデンス・プログラム

更新日:2025.1.24

リンジー・ワルシュ

参加プログラム リサーチ・レジデンス・プログラム
活動拠点ベルリン
滞在都市/滞在先東京
滞在期間2025年1月 - 2025年3月
滞在目的

2019年、人間の臓器や身体的部位を人間以外の母体から育成するため、世界で初めて人間と人間以外が組み合わさったキメラ的生物の臨月妊娠が日本で合法化された。今まさに生まれつつあるこの生命体の誕生について調査することから自身の滞在プログラムは始まる。キメラ的生物や怪物、妖怪学(奇異の科学)といった日本で古くから残る伝承を背景に、科学技術によりキメラが生み出されるという現実がどのように出現したかを検証することを目指す。また今まさに生まれつつあるキメラにより、起こりうる未来と人間のあり方の様式がどのように再考されていくか、批評的に検証することも目論んでいる。

滞在中の活動
  • 妖怪学についてリサーチを行い、東洋大学で井上円了の業績をたどる。
  • 東京大学や早稲田大学の学者たちと学際的な協働関係を構築し交流する。
  • 現代のポピュラー文化、ゲーム、メディアにおける怪物文化についてリサーチし資料を収集する。
  • 儀礼や専門知識を収集する。
  • 作品を試作しオープン・スタジオで成果を展示する。
滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

レジデント期間中、日本各地のアーティストや科学者、BioClub TokyoやmetaPhorestなどのアートスペースとのネットワークを構築した。
関西では、京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点(ASHBi)で講演を行い、iPS細胞研究所の藤田みさお教授にインタビューした。また、兵庫県立歴史博物館の学芸課長の香川雅信博士に、日本における妖怪文化や歴史についてお話を伺うために姫路を訪れた。
そして、アイヌ文化交流センターや早稲田大学理工学術院先進理工学部電気・情報生命工学科、東京近郊のギャラリーや博物館などでもリサーチを行い、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科・SAMCARAラボでゲスト講師を務めた。
オープン・スタジオでは、インタビューとリサーチに基づいて、脚本と監督を手がけたアニメーションを発表した。

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第105回metaPhorestセミナー&BioClubアーティストトーク「リンジー・ワルシュ - 血と汗と涙の結晶」
撮影:ジェニファー=マーリン・シェーラー

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香川雅信博士の著書

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東京都現代美術館「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」鑑賞
撮影:チェン・ズ

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オープン・スタジオのために制作した、リサーチに基づいたアニメーション作品のスティル
©リンジー・ワルシュ

滞在の成果

日本各地の芸術団体や科学団体との充実したネットワーク構築ができ、将来のプロジェクトに発展させることができるような協力関係をたくさん築くことができた。また、レジデンスに参加する前は欠けていた、自分自身の芸術的実践と能力に対する自信を得ることができた。さらに、レジデンス期間中に築いた友情は、人間としてもアーティストとしてもかけがえのないものになった。
日本において、3ヶ月という期間では生物医学の研究者たちと深く関わり、学際的な協力関係を築くことはとても難しいと実感した。今後は、生態学の分野や生物医学に焦点を当てていない分野との学際的なコラボレーションを優先したいと考えている。

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