更新日:2024.9.10
参加プログラム | 二都市間交流事業プログラム(派遣) |
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活動拠点 | 日本 |
滞在都市/滞在先 | 台北/トレジャーヒル・アーティスト・ヴィレッジ |
滞在期間 | 2024年10月 - 2024年12月 |
第二次世界大戦中の「沖縄から台湾への疎開」をテーマに研究と制作を進める。疎開者や受入者が残した文字を「人々と土地の歴史や記憶の容器」として捉え、書籍、日記、アーカイブ写真、碑文などに記された文字や言葉を、拓本や模写などの技法を用いて写し取る作品を制作する予定。台湾の文化や歴史、そして複雑な言語環境に身を置くことで、文字が時空を超えて人々の記憶や感情を運ぶことを体験し、その普遍的な力を現代社会でどのように解釈できるかを探求する。
第二次世界大戦中、祖母が沖縄から台湾へ疎開していた事実を起点に、日本統治時代の建築物や石碑を巡るフィールドワークを実施し、当時を知る人々へのインタビューを行った。学芸員や研究者の協力を得ながら、博物館や資料館の訪問、畜魂碑の現地調査、疎開者資料の分析を進めた。さらに、教育現場やアートスペースを訪問し、地域住民やアーティストとの交流を通じて、現地文化やアートシーンへの理解を深めた。
《リーフレット・伝単》 2024年、銅、160mm×190mm
《リーフレット・伝単》 2024年、銅、160mm×190mm
《時層》 2024年、紙・水彩絵の具・澱粉糊、サイズ可変
《一人一人数える》 2024年、紙・インク・写真・紙粘土、サイズ可変
《一人一人数える》 2024年、紙・インク・写真・紙粘土、サイズ可変
《蓄魂碑》 2024年、紙・クレヨン・墨・ LED、1300mm ×1100mm ×100mm
台湾での経験を通じて、土地や物、歴史だけでなく、「今ここにいる人と繋がることの重要性」を強く感じた。戦争をテーマにリサーチすることの困難さに何度も直面した。歴史や政治的立場、国際情勢、国家や地域間の対立など、無視できない要素や、自分の感情に深く突き刺さる要素が次々と立ちはだかった。それにより、思考が煮詰まり、先に進めなくなることや、考えすぎて思考停止に陥ることもたびたびあった。焦らず、じっくりと向き合う忍耐も大切だが、それ以上に「考えることを止めず、手を動かし続ける努力」が必要だと実感した。滞在制作や展示という機会は、自分をそのようなモードや状況に追い込み、課題に正面から向き合うきっかけを与えてくれたと感じている。 今回の滞在で感じた課題や困難を糧にし、今後も台湾を含めたアジア地域でのリサーチ活動を継続していきたい。さらに、より多角的な視点を持ちながら、これらの経験を活かした作品を発表していくことを目指している。
全体
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