クララ・キルシュ

レジデンス・プログラム

二都市間交流事業プログラム(招聘)

更新日:2024.8.20

クララ・キルシュ

参加プログラム二都市間交流事業プログラム(招聘)
活動拠点ベルリン
滞在都市/滞在先東京
滞在期間2024年9月 - 2024年11月
滞在目的

パブリック・シェイミング(公の場で誰かを辱める行為)とインターネット上における言論の自由の限界とのつながりを取り扱う自身のプロジェクト《5-Star-Freedom》に注力する予定。自身のリサーチ、コラージュを使った実験、レリーフ技法、その他の素材の使い方を深化させ、現在のニュースや東京の都市景観と関連して様々なメディアを用いたアプローチを見出せればと思う。最初はヨーロッパ/西洋的な自身の立ち位置から自身の地平を広げつつ、日本的な視点にも注目していきたい。

滞在中の活動
  • ワールドワイドと、日本特有の各視点から、辱めによる懲罰、ヘイトスピーチ、インターネット文化についての理論的なリサーチ
  • レリーフ技法における資料リサーチ
  • 資料と素材収集
  • パフォーマンス的なアプローチ/映像による作品試作
  • レクチャー・パフォーマンスのための映像コンセプト設計
滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

ネット上の辱めや辱めによる懲罰について、たくさんの書籍を読むことからリサーチに着手した。江戸時代の刑罰制度を学ぶため明治大学博物館の刑事部門の展示を見学した。ネット上のアーカイブや図書館、SNSの情報を閲覧しつつ、画像や既存の動画を資料としてかき集め始めた。東京の日常の通勤風景からは、都会的な生活や出会った様々な人々による会話を観察することで、日本の労働文化に対しても強い興味がわいた。こうして映像作品では、リサーチでの発見と結びついた2人のオフィス・ワーカーにまつわるフィクションの筋書きができ上っていった。同時にエンボス(浮き彫り)技法を使った実験も行った。森木ペーパーを訪ね様々な種類の和紙とそれに使用可能な印刷とエンボスについて学んだが、最終的にはアルミ・シートを使用した版彫りシリーズをつくることにした。映像作品に加え、オープン・スタジオ用にパフォーマンス作品も制作した。

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《An unforgivable mistake - 許しがたい過ち》静止画像、フルHDビデオ、9分54秒、2024

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《An unforgivable mistake - 許しがたい過ち》静止画像、フルHDビデオ、9分54秒、2024

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《An unforgivable mistake - 許しがたい過ち》アルミ版レリーフ、14×21㎝、2024

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《An unforgivable mistake - 許しがたい過ち》アルミ版レリーフ、14×21㎝、2024

滞在の成果

映像、パフォーマンス、アルミの版彫りシリーズの各作品を制作することができた。リサーチの範囲を広げたことにより、社会的な制御装置としてのパブリック・シェイミングについて、一般論と日本社会特有の両面で理解を深めることができた。
他の滞在アーティストとコラボレーションできたことは、自身にとって、また翌年に控えるアムステルダムでの別のプロジェクトにとっても本当に良い経験となった。交流イベントやオープン・スタジオ、またTOKAS以外の場面においてもアーティストや研究者、キュレーターと面会し自身の活動やその他のプロジェクトについて洞察に富んだ対話を交わした。今後は日本で築いたつながりをさらに深め、この国と関連した別のプロジェクトに取り組み、ここで作品を展示することも望んでいる。
TOKASでの時間は自身の制作プロセスについて多くのことを教えてくれ、活動中に行った自身と周囲とを結びつけるリサーチと観察、フィクション、ファウンド・フッテージの間で活動するスタイルをこれからも続けていきたいと思う。とはいえ、今後のプロジェクトでは、より直接的に自身のリサーチ対象分野における現地のスペシャリストとの活動や、他のパフォーマーとのコラボレーションができればと思う。

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《An unforgivable mistake - 許しがたい過ち》オープン・スタジオでのパフォーマンス、約7分、2024

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《An unforgivable mistake - 許しがたい過ち》オープン・スタジオでのパフォーマンス、約7分、2024

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《An unforgivable mistake - 許しがたい過ち》オープン・スタジオでのパフォーマンス、約7分、2024

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《An unforgivable mistake - 許しがたい過ち》オープン・スタジオでのパフォーマンス、約7分、2024

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