ハナン美弥

レジデンス・プログラム

リサーチ・レジデンス・プログラム

更新日:2024.12.6

ハナン美弥

参加プログラム リサーチ・レジデンス・プログラム
活動拠点リノ (ネバダ州)、アメリカ
滞在都市/滞在先東京
滞在期間2024年5月 - 2024年7月
滞在目的

現在進行中のプロジェクトは、かつてノーザン・パシフィック鉄道の建設に携わった日本人労働者たちの知られざる歴史に基づいている。彼らは19世紀後半にアメリカ西部の山間部に移住し、現在ミズーラ市の墓地に埋葬されているが、名前と出生地以外は、ほとんど知られていない。
滞在中は、彼らの歴史に関する調査をもとにエッセイを執筆。作品は抽象的なものになるが、彼ら労働者の歴史的背景を知ることは、私の作品制作において、重要なことである。

滞在中の活動
  • 東京の国立国会図書館で鉄道労働者の背景となる歴史を調査
  • 横浜と神戸の移民センターを訪問して情報収集
  • 米国への日本人移民の歴史について執筆している歴史学者との面談
  • テーマに関する情報をエッセイにまとめる
  • インスタレーション作品を構想
滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

1900年前後に鉄道建設会社で働くためアメリカに行った日本人移民に関連する歴史をリサーチした。アメリカでは資料が非常に少なく、あまり知られていない歴史である。滞在期間前半は東京の国立国会図書館で情報を収集した。そして広島や岡山、福島といった日本人移民たちの出身地10か所を訪ね、将来作品で使用する現地の土をサンプルとして採取した。滞在終了に向け、オープン・スタジオの展示では歴史に関するエッセイを執筆したほか、ドローイングをいくつか制作し、アメリカの色々な機関のアーカイブから見つけた画像を印刷し展示した。

採取した土

採取した土

滞在の成果

自身にとって有意義な滞在であった。国会図書館では予想以上に多くの情報を集めることができた。当時の移民たちの日記やメモが見つかったことは特に素晴らしい成果で、ここから将来の制作へつながる着想を得ることができた。もう一つの成果は自身がたどっている移民たちの故郷が見つかったことである。これにより彼らの故郷を訪ねることができ、各地の土のサンプルを採取し、将来の制作に使用する予定である。アートの実践において歴史を扱うことは繊細な問題である。今回入手した情報や素材は、特定の歴史を取り扱うのに際して十分であると確信しており、今回の滞在後の作品制作に着手するのに多くの刺激を得ることができた。
加えてTOKASのスタッフのおかげで、今後お世話になるかもしれない有意義なつながりを築くことができた。移民関連機関に携わる方々やほかのレジデンシー施設などを紹介してもらい、TOKAS滞在中または滞在終了後に彼らと会うことができた。こうした出会いがさらなる新しい出会いをもたらし、今後の作品制作にとっても好ましい影響を与えるだろう。
規模の大きなインスタレーション作品を取り扱う作家としては、将来の制作のためのリサーチと準備にまとまった時間を使えてよかった。

展示したパネル資料

展示したパネル資料

展示したパネル資料

展示したパネル資料

クリエーター情報

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