更新日:2024.12.6
参加プログラム | キュレーター招聘プログラム |
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活動拠点 | マドリード |
滞在都市/滞在先 | 東京 |
滞在期間 | 2024年5月 - 2024年7月 |
滞在の目的は、1974年にニューヨーク近代美術館(MoMA、ニューヨーク)で開催され、美術館におけるビデオや日本のビデオ・アートを国際的な場で正式に紹介したイベント「Open Circuits, an International Conference on the Future of Television」から50年を経た日本のビデオ・アートの現状をマッピングすることである。そのために、現在のビデオ・アーティストの経験や視点を直接学び、最終的には「Open Circuits」のモデルに倣って、日本のビデオ・アートの現在と未来についての議論を再興するような展覧会企画を練り上げていきたいと考えている。
1970年代の日本のビデオ・アートと現在のビデオ・アート・シーンの2つについて、アーティストと動画自体、そしてテクノロジーの進歩に依存するメディアとしての動画との関係に着目し、比較研究を行った。この研究から、1974年にMoMAで開催された「Open Circuits: An International Conference on the Future of TV」と、このイベントで紹介された日本のビデオ・アートを振り返る展覧会プロジェクトを展開した。オープン・スタジオでは自身の現在進行形のプロジェクトを2つのパートに分けて展示した。1つ目は、MoMAでのイベントにも参加した久保田成子と松本俊夫に捧げるものであった。もう一つのパートは、自身が滞在中に記録した6人のビデオ・アートを制作する現代美術作家:河合政之、瀧健太郎、津田道子、トモトシ、遠藤麻衣、百瀬文へのインタビューである。ビデオ作品を美術館に持ち込み、日本のビデオ・アートを国際的なアートシーンに公式に紹介した前述のきわめて重要なイベント(「Open Circuits: An International Conference on the Future of TV」)から50年を経た現在における世代間対話ができたことが活動成果である。
久松知子とのメンタリング・セッション
畠中実氏のスタジオ・ビジット
対話や共通の興味についての意見交換といったアーティストとの直接的な共同作業を経た記録インタビュー形式はこれまで行ったことのないものであったが、自身が行っている美術史研究とキュレーションのハイブリッドな活動にとって非常に豊かな方法論的資源であることが分かった。作品ではなくアーティストが話した言葉を展示の中心に据えるという成果発表は、来場者に対して、アーティストがどのような作品を作るか想起させ、興味を持つきっかけになったことから、非常に興味深いものであった。
他方、キュレーター・トークでは、自身が近年コラボレーションした何人かのスペイン人アーティストの作品を紹介したが、この場での登壇・意見交換を経験したことで、日本の来場者の興味を知ることができたし、全く異なる背景から芸術的な活動における共通の関心について議論できたことから、非常に充実したものであった。そして経験と知識を共有できる文化を超えた出会いの空間としての展覧会というコンセプトに取り組み続けることに対しても励みになった。
「キュレーター・トーク Vol.4」 スペインの現代アート・シーンについて
「オープン・スタジオ」でのトーク発表
オープンスタジオでの「Reopening the Circuits」プロジェクトに関する展示風景