チェン・ユウェン（セラ）

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チェン・ユウェン（セラ）陳 郁文

参加プログラム	芸術文化・国際機関推薦プログラム
活動拠点	台北
滞在都市／滞在先	東京
滞在期間	2024年1月

滞在目的

第一の目的は、日本統治時代の台湾におけるダイオウヤシの木の導入についての調査で、これまでに、ハワイからダイオウヤシの木を輸入しようとした最初の試みは失敗し、新宿御苑から木を移植して初めて成功したことが分かっているが、エキゾチックな植民地という考えのもとで行われたという観点から、このダイオウヤシの移植について、調査をさらに進める。
もうひとつは、1970年にアメリカで展開された、人種をテーマにした彫刻プロジェクトで、アジア人女性を表象するモデルとなったフジワラ・チヨコの消息をたどることを試みる。

滞在中の活動

• 文献や絵葉書などの視覚資料を収集する
• 工藤彌九郎の熱帯植物写真集を収集する
• 被写体を探しに新宿御苑を訪問する
• プロジェクトのプレゼンを通じて、異なる文化的視点からの対話・言説を誘発する
• フジワラ・チヨコに関連する人物・資料を探す

滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

このプログラムでは、2つの異なるリサーチテーマを追求した。
1つ目は2022年にTOKASで始めたプロジェクトのリサーチの続きで、異なる時間軸における日本庭園と「人工的な自然」に焦点を当てる。その目的は、日本と台湾の間の植民地時代の歴史的景観とのつながりを確立することである。植民地時代、日本政府は台湾にヤシの木を輸入し、台湾の風景に南国の雰囲気を作り出そうとした。これについては、植民地時代の1896年に日本政府によって建設された台北植物園に関連する画像を中心とした視覚的資料をさらに入手するために戻ってきた。
2つ目のテーマは、シカゴの日系アメリカ人史を探る中で遭遇した《Chiyoko Fujiwara》という人物像について掘り下げるというものである。このリサーチの目的は、西洋が東洋の文化をどのように表象しているかを探ることである。Chiyokoの像は、1930年代にアメリカ人アーティストのマルヴィナ・ホフマンによって制作されたもので、人類学コレクションのためのものであった。
Chiyokoは東アジアの女性としてかたどられ、コレクションの中で特定の人種の代表としての役割を担っていた。したがって、自身の関心は彼女の背景と物語を解明することにある。自身にとっては、Chiyokoが実在の人物であったとしても、彼女は本質的に虚構——国家や文化的アイデンティティのようなもの——である。それらは、国家の制度や国境を保持するために存在する、さまざまな形のフィクションなのである。
自身のリサーチの方法論において、Chiyoko Fujiwaraを追跡するための伝統的な学術的アプローチや人類学的アプローチは避ける。その代わり、現代的で非公式な方法を選び、東京の探偵事務所に連絡を取ることにした。型破りな選択だが、自身の探偵業に関する予備知識は、ドラマやテレビ番組で描かれる探偵の姿に大きく影響を受けていたため、魅力的な体験になった。

滞在の成果

滞在中、台湾のパームツリーやココヤシの風景を写した古い絵葉書の山を発掘した。さらに、台湾の植物を撮影した工藤弥九郎の写真集『熱帶植物写真集』シリーズも偶然見つけた。コンセプトとしては、これらの新たな発見をもとに、故郷である台湾の現代の風景とのつながりを確立しようと努めた。これらのイメージに鮮やかに写し出された外来植物は、輸入され、台湾人の精神に深く刻み込まれた記憶へとまとまって発展し、熱帯環境のシンボルとしての役割を担っていた。
Chiyoko Fujiwaraの物語を追い求めるにあたり、探偵事務所と契約し、Chiyokoのライフストーリーを掘り下げるための調査方法と関連料金について相談した。プロジェクトの予算の関係で、初歩的な調査からしか情報を得ることができなかった。発見された重要な手がかりは、彼女の写真が東京の聖路加国際病院で撮影されたものであることを示し、Chiyokoが東京出身であった可能性を示唆している。

クリエーター情報