ヴィラヴォング・スンダーラー(ヴィラ)

レジデンス・プログラム

キュレーター招聘プログラム

更新日:2024.8.5

ヴィラヴォング・スンダーラー(ヴィラ)

参加プログラム キュレーター招聘プログラム
活動拠点ビエンチャン
滞在都市/滞在先東京
滞在期間2024年1月 - 2024年3月
滞在目的

現代アートの発展におけるキュレーターの役割に焦点を当て、日本のキュレーターが現代アートの分野でどのような仕事をしているのか、ケース・スタディを行う。現代アートの世界においてキュレーションの実践が注目されるようになったのは、制度的な官僚主義、市場原理、芸術的表現、大衆の嗜好の間を仲介することの重要性が高まったからである。言い換えれば、キュレーターは現代アートの発展において重要な役割を担っている。 本リサーチの目的は、現代アート、特にニュー・メディア・アートの新興分野における日本のキュレーターの実践を調査し、アート・プロジェクトをキュレーションする際の彼らの本質的な役割と資質を理解することである。具体的には、今日の現代アートにおけるキュレーターの役割という観点から、日本文化におけるキュレーションの実践に携わり、実践的学習(美術館やアートスペースの訪問、キュレーターのアシスタント、アーティストとの共同作業、キュレーターやアーティストへのインタビューなど)と理論的学習(思考、コンセプトのアイディア、議論のための興味深いトピック収集、日本の現代アートの本や事例など)を行う。 さらに、異文化間交流を行うことで、日本とラオスでキュレーターという職業がどのように存続し、どのように仕事をしているのかを考える上で実りある思考につながるだろう。最も重要なことは今日のキュレーターの役割を確認することである。このプロジェクトは、私の視野を広げ、ラオスの現代アートに貢献する能力を強化できると信じている。

滞在中の活動
  • 様々なキュレーションの実践におけるメンタリング / トレーニング / 共有 / ディスカッション
  • アーティスト/キュレーターへのインタビュー
  • 美術館・ギャラリー訪問 / スタジオ訪問
  • リサーチ・ノートの執筆
  • 小展示の共同企画 / オープンスタジオへの参加
  • トークイベントへの参加 / ラオスの現代アートはどのように形成されてきたかについて話す
滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

以下の活動を行った。

  • アーティストへのメンタリング
  • 現地のアーティストやキュレーターとの多様なキュレーション・トレーニング
  • 日本のアーティストやキュレーターの社会にアートがどう適合したか、インタビューと意見交換
  • 美術館やアートギャラリー、オルタナティブ・スペースへの訪問
  • 「キュレーター・トーク」に向けた自身のリサーチ書類の作成
  • ラオスにおいて現代アートがどのように形づくられてきたかの紹介

Moritz Neumüllerの写真集ワークショップ参加時の様子

出版社Neutral Colors訪問時の様子

池田佳穂氏とのインタビュー

東京藝術大学キュレーション修士課程学生企画の展覧会訪問時の様子

遊公房アートスペース訪問時の様子

滞在の成果

レジデンス中の主な目的であった、日本、そして国際的なアーティストやキュレーター、芸術関係者とのネットワーク構築において多くの成果が得られた。また、アート系スペースを訪問したことで、自身の意欲も高まり、日本でのアート活動を参考にラオスのアート界に何をもたらせるか、自身ができることをより明確にできた。さらに、多様性のある環境で数々の思想を知り、ラオスのアートシーンをさらに発展させるためにはどのような一歩を踏み出すべきかがわかった。
今後のラオスでの活動構想として、GAKU(渋谷PARCOビルにあるスペース)のようなキュレーション・コースを運営するオルタナティブ・スペースを設立すること、そしてラオスのアーティストが新たな展望や美術の形式をシェアすることができ、各自が活動を洗練、発展させるために最も有効と思われるアーティスト・イン・レジデンス事業をヴィエンチャンに立ち上げることを思い描いていて、実現させることでTOKASレジデンス・プログラムの成果にできればと思う。またその事業においては、ラオスではどんなアートシーンが存在するか学びたい国外からのアーティストを公募し、彼らによって多様な視点がもたらされ、ラオスのアーティストや人々と、ラオス国外のアーティストが理想とすることを語り合う場になれればと思う。
滞在中最も印象的だったのは、滞在アーティストに情報を紹介するほか、日本の人々との間を友好的に、そして誠実に取り持つTOKASスタッフの取り組み方についてである。自身のより多くの探求と人々と出会う手助けとなり、新たなステージに導いてくれた。この3か月、日本の社会、思想、視点に触れたことで、これまで見てきたものを心の中で言語化する新たな知覚が開眼し、より批評的な思考ができるようになった。最も欲しいと感じたのはアートガイドマップで、その隅から隅まで探求した。というのもラオスではこのような媒体も情報紙をもってアートスペースを巡るという行動様式も決してありえなかったもので、自身の手でこうしたものを作らなければと考えている。これらの経験を通じ、日本、特に東京のアートやアーティストが置かれた社会は重要なものであるということを実感するとともに、アートと国際的なアートの感覚に徐々に触れることができた。

キュレーター・トーク ラオスのアートシーンについて

オープン・スタジオでの自身の展示ブース

クリエーター情報

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