鈴木悠哉

レジデンス・プログラム

国内若手クリエーター滞在プログラム

更新日:2024.8.5

鈴木悠哉

参加プログラム 国内若手クリエーター滞在プログラム
活動拠点札幌
滞在都市/滞在先東京
滞在期間2024年1月 - 2024年3月
滞在目的

東京の風景を象徴するものとして「路地」がある。特に下町の路地などでは住民がしつらえた植木鉢や造作物などが公道にはみ出して仮設的な庭、あるいは人工物(モノ)と自然が織りなす独自の生態系が自ずと形成され、住民によって無造作に置かれたモノの配置やコンポジションによってミクロな記号体系が展開されている。TOKAS滞在を通じ、墨田区を中心とした東京下町の路地を主なモチーフとして、路上におけるモノの生態系に潜在する記号的なイメージを抽出する「路地の記号学」を実施する。

滞在中の活動
  • 墨田区の下町エリアの路地を歩き、路上観察、写真撮影
  • リサーチ写真をもとにドローイングを制作、路地空間の要素から記号的なイメージを抽出する
  • 東京の路地空間に関して、建築と風土、また歴史的な観点から考察する
  • 滞在キュレーター、ゲストとの対話を通じて、路上におけるモノの生態系、そこに潜在する記号体系についての考察を行う
滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

墨田区周辺に残る古い路地、その中でも公道と住宅の間に形成される造園的な現象(=仮設的な庭)の観察を通じて、写真撮影、およびドローイングの制作を行なった。そういった仮設的な庭が形成される東京の都市の構造を考察しながら制作を進め、そこに見出されるプライベート(ウチ)とパブリック(ソト)との曖昧な境界、またその中で形成されるミクロな生態系(植物)と人工物(モノ)との関係を独自の造形言語によって再構成することで成立するインスタレーション作品を構想した。

墨田区におけるリサーチ写真(仮設的な庭)、2024年、参考写真

墨田区におけるリサーチ写真、2024年、参考写真

滞在の成果

これまで参加してきたレジデンスプログラムは滞在の最後に展示などが組まれているために、そのことにどうしても意識が集中してしまっていたのだが、今回参加したTOKASのプログラムは、作品を制作していく過程のリサーチや、メンタリングセッションなどがプログラムの主軸であったため、これから制作しようとする作品のこと、またこれまで制作してきた作品に関してじっくりと考察していく時間を得ることができた。特に、滞在キュレーターとのメンタリングセッションや、キュレーターや学芸員などの専門家の方々とのミーティングなどを通じて、自身の作品をプレゼンテーションする機会が多かったのが個人的にはとても大きな学びになったように思う。
滞在中に行おうとしていたことはおおかた実行することができた。今後の活動の展望としては、今回TOKAS滞在中に行なったリサーチと制作をベースとして、インスタレーション作品を制作し、東京において発表を行いたいと考えている。
今回はとにかく「対話」したレジデンスであった。自分の作品に関してあらためて「言葉」で考えて、その言葉が他者に伝わるのか、伝わらないのか、投げかけて、試していく機会が多くあった。そういった意味では、作品と言葉の関係をあらためて捉え直す機会になった。

《archegraph study_Sumida》2024年、色鉛筆 紙、210mm×298mm

オープンスタジオ風景、2024年、ミクストメディア、サイズ可変

オープンスタジオ風景、2024年、ミクストメディア、サイズ可変

オープンスタジオ風景、2024年、ミクストメディア、サイズ可変

クリエーター情報

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