更新日:2024.8.5
参加プログラム | キュレーター招聘プログラム |
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活動拠点 | 台北 |
滞在都市/滞在先 | 東京 |
滞在期間 | 2024年1月 - 2024年3月 |
今回のレジデンス・プロジェクト「New Orders in the Spaces of Taiwan and Japan(台湾と日本の空間における新たな秩序)」では、政治的・社会的空間における台湾と香港の個人の役割に焦点を当てたこれまでのキュレーションから離れ、高度に発達した日本の社会秩序と、その中での個人の並置を研究対象として選んだ。その目的は、"空間 "というレンズを通して議論を広げることで、現代社会の集合意識と私的領域との関係を探求することである。この探求を通して、プロジェクトは新しいアジアの未来についての問いを投げかけようとしている。ポスト・グローバリゼーションの時代から出発したこのプロジェクトは、個人の潜在的なエネルギーが、さまざまな都市で確立された社会秩序やルールの中で、どのように連結の糸として機能しうるかを検証する。
レジデンス期間中、観察していたのは滞在場所の環境―居室内の災害対策備品から各地の災害用倉庫、公園、避難場所まで―であった。自然災害と人災が及ぼす衝撃に興味を持ち、台湾との比較を試みつつ、日本におけるそれらの影響についてリサーチを開始したのである。東京の公園や小学校、避難場所、記念館を訪ね、そして福島と仙台を旅した。展覧会やキュレーター、アーティストについて多くの情報を手に入れ、何人かの日本のアーティストに面会した。自身が関心を寄せるのは、あのような出来事があってから我々はこれら災害とどう共存しているかということ。さらには、災害は非常に複雑であると考えている。災害は我々が持つ自然との関係性に影響を与えると同時に、政治的な含蓄に満ちている。すべて人間のふるまいに関わるものなのである。
防災公園
東京大空襲繊細資料センター
震災遺構仙台市立荒浜小学校
「カウ・ゴジラ」 於:希望の牧場よしざわ
下道基行氏とのミーティング 於:国立新美術館
台湾と香港に加えて、今回の日本でのリサーチの後、さらなるリサーチに向けた別のプロジェクトに取り組むべく、日本の様々な地域を訪ねたいと考えている。また視野を広げ、韓国や東南アジア、そしてヨーロッパなどの別の地域をもリサーチの対象に含めたい。災害は非常に複雑なものであると考えている。災害は私たちが持つ自然との関係性に影響を与えると同時に、政治的な含蓄に満ちている。すべてのものは人間性に関わるものである。これら「事後」の諸事件の後にアーティストが発信した物語や活動を通じ、私たちが生きる場所、さらには自然と人間の関係性についての議論ができればと思う。そして人間という概念についての議論において、現在とは別のあり方が見出されることを望んでいる。
滞在中、記憶に残ったことはたくさんあるが、大きく分けて3つあると思っている。 1つ目は、自身がリサーチ・プロジェクトの一環で訪れた場所の数々で、どれも印象深かった。 2 つ目は、日本人アーティストとのキュレーションが速やかにまとまり、さまざまなプロジェクトにスムーズに移行できたこと。 3つ目は、TOKASで一緒に滞在したアーティストから受けた影響で、現在、何人かを台湾に招きたいと考え、企画書を書いているところである。
オープン・スタジオの展示風景