高石 晃

レジデンス・プログラム

二都市間交流事業プログラム(派遣)

更新日:2019.8.14

高石 晃

参加プログラム   
二国間交流事業プログラム(派遣)
活動拠点 日本
滞在都市/滞在先ヘルシンキ/HIAP (Helsinki International Artist Programme)
滞在期間 2019年9月 - 2019年11月
滞在目的

これまで部屋や階段、牢獄などの形態を使って作品を制作してきた。ヘルシンキの滞在ではHIAPの施設があるスオメリンナ島が海上要塞であったことに着目し、島であり、要塞であるというその地形、形態についてリサーチを行う。島の海岸線や要塞の建築がいかに形成されてきたか、その力学を造形作品に取り入れることで、作品の同一性がいかに保たれうるのか、またいかに周囲の環境と関係しているかを検証する。これは国家や個人の成立条件を問うことと並行関係があるのではないかと考える。

滞在中の活動(計画)

・1ヶ月目 スオメリンナ島の地形、要塞の構造のリサーチをする。島の地政学的な意味、歴史のリサーチ。可能ならば島の野外におけるプレゼンテーションを行いたいので、その交渉を行う。
・2、3ヶ月目 可能ならば野外に穴を掘りたい(島に掘られた穴−地形的に入れ子状の空間が形成される)。しかし世界遺産なので難しいと思うので、大きめの島のマケットを作り、その構造に「穴」を貫入させ、バリアに囲まれた島の構造を明らかにするような立体作品を制作する。それを反映させた平面作品も作り、共にスオメリンナのプロジェクトスペースにて展示を行う。「密室の絵画」の発展形として、「島としての密室」「要塞としての密室」を作品化する。

滞在中のリサーチ及び制作活動

スオメンリンナ島はその「フィンランドの城」という名前が示すように、フィンランドにとって国防上重要な意味をもつ海上要塞だった。要塞の特徴的な城壁は国の防衛線、国境線であり、その形態はこの国の観念(イメージ)の輪郭を成しているといえるのではないか。島にあるドライドック(巨大な桶のような構造体)の底に城壁の形を参照した彫刻を島の土で制作し、ドックに海の水が流れ込み彫刻が溶け崩れながら水没する過程を映像作品として残した。

滞在の成果

近年自らの課題としていた、造形言語を使いながらそこにいかに社会性や歴史を畳み込んでいけるかという点に、一つの解法を見つけられたように思う。幾何学的で抽象的な形態の彫刻が浸水していくにつれ城壁、島、穴、というようにその様相を変えていく。その不可逆的で一回性の過程に形態の呼応によって周囲の環境が、また連想関係によって人の記憶やその場所固有の歴史が引き付けられていく、というような仕組みを作ることができたように思う。人やその場所の特殊性に関わりながらいかにそれを内的な造形言語において消化していくかということを試みることができた。

Linna, 2019

Linna, 2019

Linna, 2019

Linna, 2019

Linna, 2019

Linna, 2019

オープンスタジオ展示風景 (写真:Sheung Yiu @sheungyiuphoto)

オープンスタジオ展示風景 (写真:Sheung Yiu @sheungyiuphoto)

クリエーター情報

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