久松知子

レジデンス・プログラム

リサーチ・レジデンス・プログラム

更新日:2019.12.18

久松知子

参加プログラム  
リサーチ・レジデンス・プログラム
活動拠点日本
滞在都市東京
滞在期間 2019年5月 - 2019年6月 
滞在目的

東京での滞在中は、都内や海外のアーティストやコレクター、批評家などを訪ね、対話の機会を得ることを主な目的としている。協力者の専門性は多岐にわたり、ヴィデオアートや現代陶芸・工芸などの専門家に会う予定である。加えて、これまで題材としてきた横山大観や岡倉天心に関する近代日本画の資料や作品の実見も集中的に行いたい。自身のバックグラウンドでもある日本のドメステッィクな歴史観や芸術観を相対化したい。それらの経験から「小さな物語を描く」というテーマについての考察を深め、ひとつのステートメントを書き上げることが目標である。

滞在中の活動(計画)

・協力者(アーティスト、コレクター、批評家など)のスタジオや自宅の訪問、取材、対話
・東京国立近代美術館、東京藝術大学など、東京都周辺の美術館・図書館での近代日本画に関する文献調査
・作品実見を中心としたリサーチ ・ステートメントの執筆、ドローイングの制作、新作の構想 

滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

山形を拠点に、日本の近現代美術史を「大きな物語」として捉える絵画を制作してきた久松知子は、国内における美術の業界や歴史観に対する疑念を捉え直す機会としてTOKASレジデンスに参加した。滞在中は、河合政之氏をはじめとしたヴィデオ・アーティスト数名を訪ね、制作アシスタント、作品鑑賞、対話などの機会を得た。それらの対話や、TOKASでの滞在クリエーターとのディスカッションは、日本における美術に対しての批判的な視点を以前よりも明確にし、また、新たに映像メディアに取り組むきっかけをつくった。

滞在の成果、今後の活動の展望

今後の制作の方向性として映像表現に取り組む足がかりを得たことが滞在中の最も大きな成果である。飯村隆彦、中島興、河合政之らヴィデオアーティストたちの制作現場や作品鑑賞の機会を得られたことが、技術面、理論面の両面から大きな刺激となった。今後は、滞在中に撮影した素材を用いた映像作品にも取り組む予定である。また同時期のレジデンスアーティストたちとの関わりも、大きな収穫である。反省点は、新たなマテリアルやコンテクストの習得のために、成果物が習作にとどまった点である。今後は、日本国内におけるアートの文脈批判にとどまらず、映像表現のアプローチからアートについての自己言及的な作品を制作していきたいと考えている。

オープンスタジオでの展示風景

《video sculpture as study》HDV、1'06"、木材、水性ペイント、7インチモニター、2019

《8mm film scratch as study》8mmカラーフィルム、3'35"、2019

《8mm film scratch as study》8mmカラーフィルム、3'35"、2019

クリエーター情報

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