更新日:2019.10.28
参加プログラム | 二国間交流事業プログラム(派遣) |
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活動拠点 | アメリカ |
滞在都市 | ロンドン |
滞在期間 | 2015年8月 - 2015年10月 |
グローバル化したグラフィティの現状のなかで、ニューヨークに次いで重要な歴史と文脈を有しているのは間違いなくロンドンです。同じグラフィティでも両都市で性質がかなり異なります。ニューヨークでは抽象やポップなどヴィジュアル・アートとしての気風が強いのに対し、ロンドンではよりコンセプチュアルでメッセージ性の高いグラフィティが支配的です。本プログラムの特徴である学生向けレクチャーや研究者との交流において私は、グローバル化するグラフィティ・アートのなかでニューヨークとロンドンが担う役割のコントラストや、そうした前提から現代美術の諸問題をどう考察できるのかについて活発に議論したいと思っています。
エアロミュラルは壁画をサウンド・インスタレーションに変容する作品です。前半は壁にクイック・ターン・ストラクチャーの壁画をかき、展覧します。会期中に壁画を消し、後半は壁画制作時に録音したスプレー音のみをスピーカーから流して空間を満たします。視覚物としての壁画を聴覚化する試みです。このアイデアはさらに深められます。例えばエアロミュラルは、実は音としてスピーカーから再生される以前に、まずは録音されたデジタル・データでもあり、インターネットを通してオンラインに再生することも可能です。
このようなエアロミュラルのコンセプチュアルな可能性を、このレジデンシーの機会にさらに進展させ、ロンドンのオーディエンスに問いかけたいのです。