荒木 悠

レジデンス・プログラム

その他(レジデンス・プログラム)

更新日:2019.11.28


荒木 悠

参加プログラム    交流事業プロジェクトプログラム
活動拠点日本/アメリカ
滞在期間 
2010年9月 - 2010年10月
滞在目的

"OPEN MISSION -腹違いの姉妹都市- "への参加

滞在報告
<自己評価>
とにかく、自分たち以外にも開かれた状態が望ましいと考え、あえてOPEN MISSIONと名付けた今回の公開制作プロジェクトは、まず全世界公開を意識したネットワークシステムの構築やウェブページの作成及び人工音声ソフトの導入など、人にお願いして助けてもらうことから始まった。さらにはコンテンツ面で即興性/偶然性を重視し突き詰めていった結果、《月面上で行為をする人》、《ウェブ上の鑑賞者による声の介入》、《現場に居合わせたお客さん》、《動物》、《魚介類》など、彼らの意思とは関係無くより多くの人々(や生物)になんらかの"協力"をしてもらうタイプのものへと発展した。これらを要素の融合を実現できたのも、今回の共犯者であり、国内クリエーター交流制作プログラムの参加者で友人の田村友一郎氏の存在にある。氏の生まれもった他人を巻き込む魔術は近くで見ていて学ぶことが大変多く、その大胆で斬新なアプローチの仕方はこの上ない刺激であった。まるで宇宙視点から壮大な映画の監督をしているようでもあり、毎日が充実していた。普段は割と個人ベースで作品を作ってきた私にとって、このようなスケールの大きな制作に携われたことは、不慣れではあったが今後の活動における大きな経験と自信になったことは間違いないだろう。

<公開制作の感想>
実験的な試みである公開制作プログラムは、その日の結果をその日のうちに分析し、次の日の指針となるように繋げていけることに可能性があるように思う。そういった試行錯誤できる場を成立させるには、日々様子を観にきてくれる「誰か」が必要である。それを踏まえた上で、普段から来場者数があまり見込まれていない本郷という場所で、ウェブを介した誰かに常に「みられている」状態を設定したことは、実験を持続し展開させていく上で価値ある判断のように思える。常に現在進行形である公開制作を先日終え、これまでの活動とリンクする部分がある一方で、現時点での個人的な位置づけはまだ難しい。というのも、一ヶ月間の「公開制作」の会期は終わったが、プロジェクト自体は現在でも継続しており、作品として発表するには少々時間が掛かりそうだからだ。

<今後の展開>
今後は、当面の目標である刊行物出版を目指し、公開制作中に撮りためた映像や記録写真の整理を行っていく。また、横浜のサーバーにアーカイブされているはずの全テキストのログを読むのが非常に楽しみである。集まった素材をもとに、最善のアウトプットの仕方を田村氏と今後も話し合いつつ吟味していきたい。
最後に、一ヶ月という比較的短い期間であったのにも関わらず、同時期の国内交流クリエーターの作家達や、海外含め外部のアーティストたちと建設的な交流関係が築けたことは今回のレジデンスにおいて最大の収穫であった。

交流事業成果
現在、青山で滞在しているスペインからの作家Daniel Jacobyが我々の「Sister Cities | Different Mother」の内容を気に入ってくれ、彼の紹介で月面での公開制作を10月29日にバルセロナで開催される「Vibracions (suposadament)」と呼ばれる、主にネットワークを扱った展示イベントに参加することになった。
会場はバルセロナ市内のAntigua Casa Haiku、キュレーターはJuan CanelaとAne Agirre。スペインとの時差があるため、日本時間の30日午前3時から4時間、バルセロナのために公開制作を中継する予定。

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10/2 OPEN MISSION 1日目:『オープニング・レセプション』 バニーガール:林千歩

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10/10 OPEN MISSION 8日目:『遠隔操作で餃子を作る』 シェフ:内村真以子

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10/16 OPEN MISSION 14日目: 『月面で鮟鱇の吊し切り』 挑戦者:司馬香里

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10/23 OPEN MISSION 22日目:『MARS ATTACK!』 出演:クラウディア・ラルヒャー

クリエーター情報

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