亀井佑子

レジデンス・プログラム

国内クリエーター制作交流プログラム

更新日:2019.11.27


亀井佑子

参加プログラム    国内クリエーター制作交流プログラム
活動拠点日本
滞在期間 
2010年4月 - 2011年4月
滞在目的

TWSという分野を超えて広かれた場所で現在の自分の制作プロセスを再検討し、リサーチや滞在クリエーターとの交流を通じて視野を広げながら、より明確で一歩踏み込んだ作品を制作し、更なる対話を展開していくための出発点としたい。

滞在中の活動

OPEN STUDIO 2010
2010年度 レジデンス成果発表展覧会「TOKYO STORY 2010」
第4回 インターナショナル・アンサンブル・モデルン・アカデミー
協働スタジオプログラム 5「 贅沢な時間と空間」 プロジェクトルーム
協働スタジオプログラム 5「 贅沢な時間と空間」 リサーチ&ワークショップ
GTS×TWS 連携企画「 Tokyo void」 展
協働スタジオプログラム 5「 贅沢な時間と空間」 ドキュメント展


滞在中はスタジオや屋外での写真を用いた制作のほか、プロジェクターを使った時間軸で展開するインスタレーションに取り組む。各オープン・スタジオを小さなエキシビションと捉え、来訪者から直接得るフィードバックを参考に個々の作品を発展・充実させ、最終的な展覧会へ向けて制作を進めていく。

[ 活動報告 ]

■ 4~7月の活動について

4月から7月までを振り返って、一番刺激的だったのは作曲家の森下周子氏との出会いだった。彼女が語る音楽の構成や演奏家との関わりについて、私はダンスの振付や即興の知識から理解し答えていったが、それで会話が成立した事は新鮮な驚きでうれしかった。彼女は個々の演奏家の技能や創造性をいかに内包しつつ作曲家として全体を定義していくかについて考えていて、それに対する主な私の反応はそのような時間・空間で定義された中で物事を生み出すとはどのような事かというものだった。そしてそのプロセスを観客として見ること、また見せることについても話しあった。この他愛ないおしゃべりを通じて改めて認識したのは、私の発想がいまだパフォーマー(インプロヴァイザー)の立ち位置にあるという事だ。

6月のオープンスタジオでは、ユハ・コスキネン氏と共に彼の音楽のための小さなライブ・パフォーマンスを考案した。ここで大切にしたのは、音楽をメインとすること、またタイトル『Ambra』の「琥珀」や楽曲の中に組み込まれた日本語のフレーズ「蝉の声」が具体的なイメージを持っているので演奏中に立ち現れる身体はそれ以上の解釈を付加しないこと、の2点だった。パフォーマンスとして目の前に現れる身体が果たしてスピーカーから流れる音楽を全面に押し出す事ができるのかという実験だったが、観客の反応としては「どちらかというと音に集中して見ていた」というものと「やはり目に見えるものと聞こえてくるものの関係を構築してしまう」という意見が聞かれた。

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『Ambra』パフォーマンス風景(作曲:ユハ T. コスキネン/構成:ユハ T. コスキネン、亀井佑子)
Photo: Shigeo Muto

自分の作品制作活動としては、以前からあたためていたアイディアを3回のオープン・スタジオに合わせて形にした。作品としては、組写真、ビデオパフォーマンス、スライドプロジェクションなど、複数のイメージの連なりによって全体を構成するものになった。異なる要素の間を時間や空間で動くことにより全体の繋がりを構築し、そこから立ち現れる事象を「見る」ことが可能なのか、もう少し考えを煮詰め、試していきたい。


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「Adaptations」(2010) Cタイププリント

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『Cosmos Aoyama』(2010) 左上から時計回りに:「Staircase」ビデオ 3ʼ15" in loop、
「Corridor」インクジェットプリント、「Paved Floor」ビデオ 0ʼ55" in loop、
「Windowsill」インクジェットプリント

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OPEN STUDIO 2010/7月 展示風景

その他、4月中旬にはドイツのミュンヘンにて"Urban Visions_Tokyo: Tokyo Mangekyo"に参加した。この展覧会はミュンヘンと非西洋都市間の交流企画で、改めてエキゾティシズムについて考えさせられた。私は2008年以降に東京で制作した作品を展示し、それに対して「これによると東京とは、何の変哲もないどこにでもあるつまらない都市なのだ」という批評がローカル情報誌に掲載された。キュレーターは憤慨していたが、郊外や中心部の再開発地域をテーマにした作品群で構成した事を踏まえると、上手くいったと言える。


■ 8~11月の活動について
イベント名:協働スタジオプログラム5
会場: TWS青山、TWS本郷、隅田公園リバーサイドギャラリー
日時: 2010年8月、11月

活動が掲載された新聞、雑誌、HP等
KIRIN Big in Japan (by Amelia Groom), 9th August 2010

リサーチ及び制作活動全般について
自身の活動としては主にリサーチ及びスタジオ内制作を行った。スタジオを舞台空間と捉え、スタジオ写真撮影やドローイングに挑戦した。

異文化交流
恊働プログラム5への参加
レジデントによる展覧会、オープニング、トークイベントに参加

クリエーター情報

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