プロフィール
ビジュアルアーティスト/映像作家。Tyler School of Art (フィラデルフィア、ペンシルベニア)でBFA取得後、1988年Goldsmith College、University of London(ロンドン)にてMAを修了。現在、Wimbledon College of Art, University of the Arts
London(ロンドン)で講師を務めるほか、Royal College of Artの彫刻科、Ruskin School of Drawing and Fine Art, University of Oxfordでも講義を行っている。個展に「Nasty Piece of Stuff」(Aberdeen Art Gallery、アバディーン、スコットランド、2011年)、「The Most Powerful Weapon in this World」(Baltic Centre for Contemporary Art、 ゲーツヘッド、イギリス、2010年) 、「Nature's Great Experiment」(Modern Art Oxford and Catalyst Arts、ベルファスト、北アイルランド、2010年)など。2011年、イングランド芸術協議会より「Cosmic Noise」がGrants for the Artsの助成を受ける。同年、University of Oxford とSt. John's Collegeのレジデンス・プログラム参加。主な受賞歴に、Los Angeles Animation Festivalにて「Best Film」 (Dangerous Experiments)賞、Melbourne Underground Film Festivalにて「Best International Short Film賞」受賞。2009 年から2010年にかけて「Nature's Great Experiment」がWellcome TrustのIdentity Project Awardを受賞する。2009年には「Blue Movie」がイングランド芸術協議会での助成を受ける。
作品/パフォーマンスについて
映像というコンテクストの中でヴィジュアル・アブストラクションに出会い、ものづくりに興味を持ちました。TWSクリエーター・イン・レジデンス・プログラムでは「abusutorakushon (abstractionのカタカナ読み)」と題した実践を考えています。
映像の製作過程で生じるコントロールの壁を断念することに興味があります。これこそが収録とプロセスを通してあらわれる表現と抽象(アブストラクション)の不調和の真の祝祭です。最近は、シンプルな暗室で基本的な薬品とバケツを使った、手作業による16mmフィルム(カラー)の現像をはじめました。この現像方法による作品には、映像の乱れや崩壊、ひずみが刻印され、フィルムの物質としてのありかたを示します。これは予想外でした。ネガの上のエマルションの表面は意図的に体に施された刺し傷です。発展の過程における最も初期の段階で引き裂かれ、傷ついています。結果的にできあがったフィルムはどれも引っ掻きむしった痕や黒い傷跡でしみになっています。それは―かつてイメージのあったところに空いた穴の数々なのです。