シモン・ラロッシュ

レジデンス・プログラム

二都市間交流事業プログラム(招聘)

更新日:2025.4.7

シモン・ラロッシュ

参加プログラム 二都市間交流事業プログラム(招聘)
活動拠点モントリオール
滞在都市/滞在先東京
滞在期間2025年5月 - 2025年7月
滞在目的

後期資本主義の文脈における商品化された身体としての動物に注目し、アート、テクノロジー、ロボティクスの交差点で、現在進めているアーティスティック・リサーチを探究したい。彫刻、メディア、ロボット工学を駆使して、動物と人間のハイブリッドな表現に関わる新しい作品シリーズの構想を練り、開発を進めることを目指す。日本の民間伝承、アニミズム、神道におけるキメラからインスピレーションを得て、「他者性」をテーマとしたコンセプトを開発し、デジタル的な絡み合いや現代のシュールレアリズムのアイデアに触れる予定。

滞在中の活動
  • ロボットの研究室、カフェ、ホテルを訪問し、大阪万博で「生命の未来」パビリオン(石黒 浩 教授)を見学する。
  • アート、デザイン、テクノロジーの分野で活躍する日本のデザイナー、アーティスト、大学関係者とのコネクションを構築する。
  • 地元の工房やデジタル・ファブリケーション・ラボを調査し、必要に応じて追加リソースを利用したり、地元コミュニティと交流する。
  • 舞踏のクラスを受講し、身体のアニメーションについて議論や考察を行う。
  • 反復プロセスを通じて、プロジェクトの美学とデザインを洗練させるために多くの時間を費やす 。
  • プロトタイプを制作する 。
滞在中に行ったリサーチ及び制作活動
現在の研究では、トランスコピー、乖離、商品化を主なテーマとしている。レジデンシー期間中には、新たなロボティック・インスタレーションの基盤を築くために、妖怪文化、舞踏の歴史と実践、人形劇やロボティクスについて探求した。以下のような素材的・概念的・技術的な調査を行った:

• テーマに関連する社会学、美術、文化理論の文献読解
• 剥製師や革製品店との実験的な試み
• ロボティック・ハイブリッド・プロトタイプのデジタル製作
• 慶應義塾大学での舞踏史に関するオンライン講義の受講
• 複数の舞踏教師によるワークショップへの参加
• ロボティクス、AI、美術に関するギャラリー、美術館、シンポジウムの訪問
• 池上高志教授との継続的な意見交換および東京大学での研究室ミーティングへの参加
• 大阪でのEXPO25の視察と、石黒浩教授のクローンを含むアンドロイドとの舞台裏での対面
• 大阪・国立文楽劇場の人形工房の見学
• 東京における音楽・ダンスのパフォーマー・コミュニティとの関係構築

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仏教寺院での舞踏ワークショップ
AGAXART

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石黒浩教授のアンドロイド・クローンとのインタビュー

滞在の成果

このレジデンスは、自分の芸術実践全体を見つめ直し、実験的な取り組みにじっくりと時間をかける必要があったタイミングで訪れた。職業的にも私的にも大きな転換期にあたっており、明確な成果や具体的な結果とは関係なく、多くの実りがあったと感じている。

あえて事前に細かい計画を立てすぎず、三ヶ月間で起こることに対してできるだけ柔軟に対応できるよう、開かれた姿勢で臨んだ。もちろん、いくつかの明確な目的も持っていた。その結果、主な目標であった「新しいロボティック作品の基盤づくり」を進めると同時に、以下のような副次的な目標も達成することができた:日本における協力者やコミュニティとの接点づくり、別プロジェクトに向けた舞踏の探求、発表の可能性の調査などである。

このレジデンスで得た成果の一部を以下に挙げる:
• TOKASでのリサーチを踏まえ、今後2年ほどかけて段階的に実現していく予定のインスタレーション作品を構想中。現在、ケベックのキュレーターとの展覧会に向けた協議も進めている。
• レジデンス中に出会った研究者との関係を継続しており、ロボティクス、アート、人工生命の交差点に関するリサーチ・クリエイション・プロジェクトへの参加を検討している。
• 2025年秋には、共同制作による振付とデジタルメディアを組み合わせたパフォーマンス作品を完成させる予定であり、その中で舞踏から得た知見が活かされる見込みである。その際、再び東京での人脈を活用し、日本国内での発表の機会を探るつもりだ。

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オープンスタジオ発表
撮影:間庭裕基

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内田科学社の剥製師との鳥の剥製制作の様子

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研究内容に関連するプリントを並べたオープンスタジオイメージボード

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オープンスタジオ発表
撮影:間庭裕基

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