更新日:2025.4.24
参加プログラム | キュレーター招聘プログラム |
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活動拠点 | 香港 |
滞在都市/滞在先 | 東京 |
滞在期間 | 2025年1月 - 2025年3月 |
パンデミックは地域規模、グローバル規模の両面において人と人との交流を阻害し重大な影響を与えた。物理的な移動や国際的な交通が制限されただけでなく、人々のやり取りはヴァーチャルな形式に代用されることが増え、人間の存在や交流はコンピュータ画面上にちらつくオーディオ・ヴィジュアルの幽霊レベルにまで縮小した。
この状況を踏まえ滞在中は、ポスト・コロナ時代における人間の接触について探るメディア・アート展のキュレーションのためのリサーチを行う。同時に展覧会に合わせた出版プロジェクトについてのリサーチにも着手し、パンデミック期におけるアジアのメディア・アート界隈が経験したことの取りまとめを図る。
レジデンス期間中、「Post-contact(ポスト・コンタクト)」という仮タイトルのキュレーション・プロジェクトのためのリサーチを行い、ポスト・コロナ時代における人間同士の接触とコミュニケーションの新しい形について考察した。 このプロジェクトは、ヴァーチャル化時代における物理的な接触と交換/体験の意味を再評価することを意図している。アーティストやキュレーターにインタビューを行い、スタジオやギャラリーを訪問し、研究テーマに関する文献調査を行った。 キュレーターとしてのリサーチと並行して、レジデンスでの空き時間には自身の創作活動にも取り組み、記憶、言語、政治的アイデンティティの力学を探求する新しいカードゲームプロジェクトを開発した。
カードゲームのプロトタイプ
オープンスタジオでの発表の様子
このレジデンスは、自分のキュレーション活動を振り返り、再考し、リフレッシュする時間を与えてくれた。
昨年、私の10年にわたるキュレーション・プロジェクトが一区切りついたこともあり、私はキュレーターとしての新たな内容、方向性、視点を積極的に模索している。
東京滞在中、若手のアーティストやキュレーターがキュレーションした革新的なパフォーマンスや展覧会に数多く参加した。 多くの場合、通常のギャラリーや美術館のセッティングの外で発表され、活動するこれらのプロジェクトは、非常に特異で、アンダーグラウンドで、実験的なものだった。特に、それらの背後にある生のエネルギー、遊び心、実験的な性質に感銘を受けた。また、これらの刺激的なプロジェクトは、自身のキュレーターとしての思考に情報を与え、挑戦する建設的な参考となり、関わった多くのアーティストやキュレーターと対話を行った。これらの出会いや交流は、このテーマに関する自身のリサーチと相まって、私のアイデアやプロジェクトをさらに洗練させるのに役立った。
その後、私は当初のキュレーターとしてのアイデアを修正し、プロジェクトのテーマを、ヴァーチャル化時代における芸術の受容と消費の形態と問題に焦点を絞ることにした。 現在、このプロジェクトを実現するためのリソースと資金を求めるべく、改訂版のプロポーザルを作成中である。 全体として、東京での滞在は、キュレーターとしての新たな関心と焦点を探ることを促し、キュレトリアルな実践において異なる段階へ移行する準備ができた。
展覧会「150年」訪問の様子
ソノアイダでの野村在スタジオ訪問の様子
文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業成果発表イベント「Encounters」訪問の様子
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