グシェゴシュ・ステファンスキ

レジデンス・プログラム

海外クリエーター招聘プログラム

更新日:2023.1.20

グシェゴシュ・ステファンスキ

参加プログラム海外クリエーター招聘プログラム
活動拠点ロンドン
滞在都市/滞在先東京
滞在期間2023年1月 - 2023年3月
滞在目的

愛、友情、パートナーシップ、家族などの親密な関係において、ケアと暴力がどのように同時に存在するかを積極的に研究している。暴力と親密さの両義性を含むシンプルで力強いジェスチャーを探す中で、2016年から、暴力とケアの両方が交わる社会的実践として武術を研究することに目を向けた。日本の武術の哲学的・戦略的概念を探求する中で、私は「合気」の原理に出会った。その原理とは、対戦相手を倒すことにおいて直接的な力の衝突を避けるという明確な目的のもと、肉体的・精神的に相手と結託し対戦しているということである。この擬態は、恋人同士の間でも無意識的に行われ、それを霊を狩る戦略としている先住部族もある。東京でのレジデンスの目的は、合気道の原理を理論と実践の両面から探求することにある。

滞在中の活動
  • 合気の原理を具現化する政治性を解き明かすため、TOKASや東京大学の多くのスポーツ研究者との学際的な交流を模索する。
  • レジデンスの最初の1ヶ月で、東京の振付家とのコラボレーションを成立させたい。
  • リサーチを実践的かつアカデミックに行うプロセスにおいて、レジデンス2ヶ月目にムーブメントワークショップやディスカッショングループなど、アーティスト主導の活動へと発展させる。
  • レジデンスの最後の1ヶ月は、新しい映像作品制作に充てる。
滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

パフォーマンスからの強い影響の下で、自身の活動は、所作、心理学、映画の結節点に位置している。東京では、人間関係におけるケアと暴力のダイナミクス、そして家庭という概念をテーマとして掘り下げ、登場人物同士の関係性の中でのダイナミクス・パターンをつなぎ合わせた、エンドレスループの形をとる新作映像作品を制作した。この作品は3部作の第1作目で、今後、イギリスとポーランドで制作を行う予定。

スタジオで描いたドローイング

ロケハン

リサーチで撮影した画像

撮影場所での音声収録の様子

滞在の成果

今回の滞在は自身にとって様々な面で大きな成功だったと考えている。 まず、音やナレーションなどの新しい要素を取り入れたショートフィルムの新作を制作することができた。 第二に、作品制作の面でもアート業界という面でも多くのプロフェッショナルと人脈を築くことができた。このことは将来的に自身の作品を制作・発表する機会をもたらしてくれるだろう。 第三には、東京での滞在が、自身の作品制作の取り組み方やアーティストとしてのキャリアをどう進めるべきかについて再考する機会となった——日本の文化や社会と密に接することで、ヨーロッパで触れてきた価値観を見直し、自分の芸術言語やスタイルがアジアの美学と類似していると発見できた。

撮影シーンの練習風景

クリエーター情報

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