更新日:2019.12.5
参加プログラム | 二国間交流事業プログラム(派遣) |
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活動拠点 | 日本 |
滞在都市/滞在先 | ベルリン/クンストクアティア・ベタニエン |
滞在期間 | 2020年1月 - 2020年3月 |
滞在の目的は二点ある。1点目はフンボルト大学ベルリンのサウンド・アーカイブを用いた作品制作だ。20世紀初頭のパリでの川上音二郎一座による最初期の日本人の録音が所蔵されている。録音の調査を通じ、当時の欧米における「日本人女性」のイメージを作り上げるきっかけとなった川上貞奴をテーマとした作品を制作する。
2点目はベルリンのサウンド・アートシーンの調査および関係者との交流である。Errant Bodies、Ausland、Labor Sonorといったサウンド・アート関連のスペースで展開される公演やプロジェクトに参画する。
・作品制作においては、前述のフンボルト大学ベルリンにおけるアーカイブ調査を基盤とする。また、全期間通してErrant Bodiesなどの実験音楽、サウンド・アートを扱うスペースでのイベントに参加、関係者との交流を図る。
・渡航前に、川上貞奴や当時の欧米からみた日本女性に関する事前調査を、日本語・英語の文献、音源を元におこなう。
・現地において、アーカイブ調査と並行して、上記スペース以外の美術館、文化施設、大学等を訪問する。
・現地アーティスト、音楽家たちと協働しつつ、パフォーマンス/インスタレーションを制作し、現地で発表をおこなう。
世界最初に録音された日本人女性(川上貞奴)の声を入手するため、ベルリン国立民族学博物館にあるベルリン・フォノグラム・アーカイブで調査をおこない、過去に貞奴の声が「男性の声」として誤ったピッチで再録されていた事実を発見した。身体的、視覚的な美が強調される一方で、彼女の自身の声/言葉が「単なる音」として受容されていた点に着目し、貞奴の忘れ去られた声を探る作品を制作、個展で発表をおこなった。
3月から急激に拡大した新型コロナウイルスの影響で、展覧会オープニングの前日に中止が決定し、残念ながら滞在の成果を現地で公開することはできなかった。集会の禁止のためパブリックにはできなかったが、オープニングにおこなう予定だったロシア人サウンド・アーティストSergey Kasichとのコラボレーション・パフォーマンスは非公開でおこない、その動画をアップロードした。展覧会のフィードバックが得られなかったのは残念だが、現地に行かないと入手できなかった情報や資料なども多く、また活発なベルリンのサウンド・アートシーンを体験し、新しいネットワークも生まれた。
オープンスタジオ風景、2020
Hojo+Kasich パフォーマンス風景、2020
Hojo+Kasich パフォーマンス風景、2020
インスタレーション風景、2020