更新日:2019.7.10
参加プログラム | 芸術文化・国際機関推薦プログラム |
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活動拠点 | オーストリア |
活動都市 | 東京 |
滞在期間 | 2010年5月 - 2010年5月 |
サイコアナリシス:現代オーストリアの眼差し
トーキョー・ポートフォリオ・レヴュー Vol. 4
滞在成果
滞在プログラムは、TWS渋谷で開催された「サイコアナリシスー現代オーストリアの眼差し」展の準備のためであった。
TWSとの仕事は、非常にプロフェッショナルで刺激的であり、日本の芸術機関について、また展覧会プロジェクトが実現されるまでのメカニズムについて見識を深めることができた。外国の視点を通してオーストリア美術を見ることは、自国の作品や特定の主題の向かう方向を分析するのに役立った。
このような国際交流プロジェクトにおいて、異なる文化の比喩的用法やその絡み合い方や結合を見て理解することはとても重要である。居住空間が限られている日本の文化にとっては重要な問題である、身体と建築の問題は特に広く注目を集めるし、建築、ファッション、アート、デザインがしばしば協力しあうなかで、身体とファッションの関係、そしてその結果としての一般へのプレゼンテーションは、とても大切な社会的ツールだといえる。そういった意味で、TWSはビジュアルアートのみでなく幅広い文化芸術を扱う大変理想的な場所であった。
同時に、レジデンスに滞在したことでTWSに滞在し制作している様々な日本のアーティストと出会え、彼らの作品について語り合い、異なる文化的角度から彼らの視点を理解することができたことはとてもポジティブな体験であった。このように、レジデンス滞在によって、日本のアート分野で活躍する多くの興味深い人々に出会うことができ、グローバルな視点でアートの問題点について議論することができた。
前述のように、スタッフや館長とのミーティングはいつも的確で効果的で、よく準備されていた。一緒に仕事をした皆さんに暖かく迎えていただき、滞在期間を通して展覧会の実現に向けたすべての事柄が非常に有益であったと感じている。
交流成果
日本で紹介されたことのないアーティストの作品や、これまでとは異なる視点から作品を採り上げたことで、TWSでの展覧会は予想通り大変な成功を収めた。多くの来館者は展示された作品をよく理解し、ほとんど馴染みのない新しい考え方を提案する作品のフロイト的または精神分析的な側面について、より深く洞察しようと興味を持っていた。このことは、オープニング当日に行われたパネル・ディスカッションに多数の人が訪れたことにも現れている。オーストリア側では、これまで日本でほとんど紹介されてこなかったオーストリアの中堅アーティストを採り上げるすばらしい展覧会を開催できたことを、文化省の代表や大使館が大変喜んでいた。日本であまり知られていないことを採り上げるというアイディアは、日本文化が常に新しいものを体験することに貪欲なことを考えても大変有益である。それゆえに本展は、そのプレゼンテーションのみならず、テーマの一貫性という点、また理論的にも視覚的にも素晴らしいカタログなど、文化的な側面からも多くの需要に応えたといえよう。これらはすべて、共にキュレーションに関わったキュレーターたち、TWSの館長、スタッフ、皆のプロフェッショナルな仕事の成果だと思っている。