mamoru

レジデンス・プログラム

国内クリエーター制作交流プログラム

更新日:2019.11.27


mamoru

参加プログラム    国内クリエーター制作交流プログラム
活動拠点日本
滞在期間 
2010年4月 - 2011年4月
滞在目的

いま取り組んでいるetudeシリーズに関連したパフォーマンス、映像、プロジェクト作品の制作を行い、レジデンスに参加する他のアーティスト達との交流を制作に還元したいと思っています。

滞在中の活動

OPEN STUDIO 2010
2010年度レジデンス成果発表展覧会「TOKYO STORY 2010」
第4回 インターナショナル・アンサンブル・モデルン・アカデミー
2010年度 TOKYO EXPERIMENTAL FESTIVAL ─SOUND, ART & PERFORMANCE Part 1
協働スタジオプログラム 5「 贅沢な時間と空間」 プロジェクトルーム
協働スタジオプログラム 5「 贅沢な時間と空間」 リサーチ&ワークショップ
GTS×TWS 連携企画「 Tokyo void」 展
協働スタジオプログラム 5「 贅沢な時間と空間」 ドキュメント展

制作テーマに関連して、文献資料だけによるのではなくて、色々な人達にインタビューなどを行い、会話する中で得られる考察や視点からアイデアを発展させていき、最終的にはそのリサーチの過程と作品の両方を発表したいと考えています。

[ 活動報告 ]

■ 4~7月の活動について

滞在を開始してからすぐに、ここ数年取り組んでいる日常品や日常行為を組み替える等して音作品を作り出すシリーズの「etude no.36 乾いた土に水を」(これは植物に水やりをする際に土が水を吸収していく時にかすかに鳴っている音を聴くという作品) にとり組む事に決め、 レジデンス生活=制作=居住という特性を最大限に活かしながら、日々の料理の際にでる野菜のヘタ、食べ残しの種を、食材のプラ容器などを組み合わせて作ったプランターにどんどん植え、現在もにんじん、大根、トマト、チェリー、西瓜など想像以上に育っています。単に植物を育てているだけではなくて、最終的に作品となる食材を使っておいしいものを作り、オープンスタジオに来て下さった方達や他のアーティスト達に振る舞い、各人にヘタや種をプランターに植えてもらい、持って帰ってもらいました。

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この作品に関して言えば、インドから来ていた元シェフという異例のキャリの持ち主のアーティスト(ビシュワさん)にはパフォーマンス作品のための人参スゥィーツレシピを教えてもらったり、スペインから来ていたMomu&Noesという別のアーティストの仕事を手伝っていた際に、差し入れたチェリーが成長していく過程などをドキュメントしたビデオ作品も作るなど、他のアーティストとも交流が多く、これらの作品は5、6月のオープンスタジオで見せる事が出来ました。

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その他にも、日常のなかで行われているかくれた創造行為をリサーチするためのリサーチグループ(「日常をクエスト」)を立ち上げ、私を含めた3人のメンバー(藤田千彩さん/アートライター、山内全逸さん/マーケティングプランナー)が隔週ペースでテキストリーディング(「日常的実践のポイエティーク」ミシェル・ド・セルトー)をしつつ、いろいろな形で日常と意識的にかかわっている人にインタビューを行っています。

これまでにインタビューをさせて頂いた方達を紹介すると、芸術人類学というまさにテーマにピッタリの研究をされている中島智さん(武蔵野美術大学・慶應義塾大学兼任講師、多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員)にお話を伺ったり、主に生活と密接に関わっている住宅設計の事などを建築家の岡村裕次さんからお聞きしたり、ダンサー・振付家の関かおりさんからは、生活の局面で、ふと身体を意識した時の事など、身体にまつわる興味深い話しを聞く事が出来ました。料理研究家の荒木典子さんからは、日常行為の中でも、特にいろいろな複雑な項目がからみあっている料理/献立作りの事を考えるたくさんのヒントを貰いました。今後も、日常に関係する諸分野に専門的に、意識的に関わっておられるいろいろな方達にも会う予定です。

最終的にこのリサーチを成果発表に結びつけるか、出版という形にするかわかりませんが、こうしたオープンリサーチは、自分だけで閉じられている普段の制作と違って、自分の考察以外のディスカッションを盛り込めるのは新しい経験で、何かしら作品にも良い影響があるのではないかと思っています。

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ワーンダーサイト以外での仕事もあり、5月の連休時には私が設立・運営に関わっている大阪のプロジェクトルームiftにて上記の「etude no.36」などに関連したイベントを行いました。

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尚、以下のブログにてワンダーサイトでの活動を常にアップ/レポートしています。
http://blog.livedoor.jp/soundartist77/archives/cat_50030694.html

今後はTWSでの制作活動に加えて、8月横浜、10月東京にてイベントなどを開催する予定です。

協力:(株)三栄プラスチックス 、有限会社ダイヤストロー本店、小松音響研究所

■ 8~11月の活動について
イベント名:ア ラ ウ
会場:三渓園(本牧、神奈川)
日時:8月26日-8月30日

イベント名:Big In JAPAN!
会場:1.Lion Nathan Australia, 2.The Royal Hall of Industries(シドニー)、3.Thousand Pound Bend(メルボルン)
日時:11月12日、16日、19日

8月に行われたTWSにおける恊働プロジェクトと併行して主に、自身の活動としては「アラウ」と題し、本牧の三渓園にある金毛窟という一畳台目のお茶室にて少数限定のパフォーマンスを行った。造形作家のTAKAGI KAORU氏とのコラボレーションワークとして昨年から暖めて来た企画で、普段の仕事ではパフォーマンスの道具はもっぱら日常品を流用しているが、こちらではフルカスタムメイドであつらえており違った緊張感を作り出せたと思う。TWSの居室/スタジオにテープで実際の茶室のサイズを示した一画を設け、約2ヶ月にわたってイメージトレーニングをしながら、その日の動きを考えながら、練習したり、集中力と体力アップのためにトレーニングを行う等して備えた。お茶室には一度に3名の客しか入れないため、4日間行ったものの24名ほどの方達にしか体験して頂けなかった事が残念だが濃密な時空間で、約2ヶ月の準備も報われた。
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9月はオープンスタオジオにて旧作のパフォーマンス"etude no.12 ノリの佃煮を皆で食べるヴァリエーション"の再演とビデオ作品によるライブインスタレーションを行った。
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10月は主に翌月に控えたオーストラリアでのパフォーマンスの制作や諸々の書類作成業務に追われた。
11月10−20日の間「Big In Japan 2010」というイベントに招かれてシドニー、メルボルンの2都市にてパフォーマンスを合計3回行いました。何か日本らしい素材でかつグローバルな日常にも組み込まれているもの、という事で「インスタントラーメン」を用いたパフォーマンスを発表しました。「etude no.39 インスタントラーメン」イベントの規模が数百人~千数百人と大規模なため、マイクやその他の音響機材を使ったサウンドパフォーマンス色の強い内容になりました。大まかには私がインスタントラーメンを作る過程に発生するノイズ(湯沸かし、キッチンタイマー、ショウガのすりおろし)をサウンド作品としてライブコラージュしていきながら、ビジュアル的にはただ目の前でラーメンが出来て行って、食されて、という普通の光景というコントラストのなかで成立する作品で、出来上がったラーメンは観客の方にも食べてもらう運びです。
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今回はいろいろ試した結果、MUJIのミニラーメンという商品を素材として選んだのですが、パフォーマンスの素材として、これを海外へ運び込む中で、非常に小規模で私的な意味合いですが、既存の意味とは違った形で「流通」と捉えられないだろうか、という着想を得て、現在1つのビデオ作品を構想しています。TWS滞在中にこのアイデアも発展させられれば、と考えています。
複数のプロジェクトを同時進行させる中でも、なんとかTWS滞在初期より、日常のなかで行われているかくれた創造行為をリサーチし、「日常をクエスト」するためのグループワークは継続中で、藤田千彩さん/アートライター、山内全逸さん/マーケティングプランナーと定期的に「日常的実践のポイエティーク」(ミシェル・ド・セルトー)のリーディング会をしつつ、日常的実践に意識的になる様なお仕事に関わっておられる方のお話を聞くために、松見ひさ子さん/通訳、gift_labを主催されている後藤寿和さん/スペース+サウンドデザイナー、池田史子さん/クリエイティブディレクターの両名、にインタビューさせていただき、いろいろとフィードバックを得ました。
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異文化交流
8月の恊働プロジェクトではカンボジアから参加したKhvay Samnangと同じグループになった事で、それまでの数ヶ月とは違った頻度で会い、話し、お互いに何を考えて制作しているのかと言った事から、カンボジアの社会的状況などいろいろと会話することができました。これまで知らなかったアジア内での微妙な人種感情を垣間見える事もあり自分自身の興味もよりアジアに対して広がったと思います。また11月のオースラリアの企画もTWSに4月に滞在していたAmelia Groomというライター/リサーチャーによる招きで、TWSでの出会いがこれだけ短期間で実際の企画に結実した事は、とても嬉しい事でした。

クリエーター情報

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