【TOKAS本郷】OPEN SITE 6 実施企画決定!

あらゆる表現活動が集まるプラットフォームの構築を目指し、2016年より始まったトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)の企画公募プログラム「OPEN SITE」の2021年度実施企画が決定しました。
2021年2月から3月にかけて実施した公募では153企画が集まり、書類審査と面接審査を経て展示部門4企画、パフォーマンス部門3企画、dot部門2企画を選出しました。さらにTOKAS推奨プログラムと普及プログラムを加えた全11企画を、2021年10月から2022年1月まで2会期にわたり開催します。

実施企画

展示部門

開館時間 11:00~19:00。入場無料。
各会期初日には公募審査員をゲストに迎え、オープニング・トークを実施します。

Part 1|2021年10月16日(土)~11月21日(日)

企画者 楊 いくみ
企画名 「When I quit eating tomato」
身体の存在/不在を起点としたパフォーマンスインスタレーションを展示する。ある架空のコミュニティの“半屋外生活空間”を提示し、人が共在することから生み出される多次元的なパースペクティブについて模索する。

企画者 金 仁淑
企画名 「A letter from Seongbukdong(仮)」
ジェントリフィケーション(都市の富裕化現象)が進むソウル市にある城北洞という街を舞台に制作した映像インスタレーションを展示。「個」の概念を家族、そして地域へと拡張し、街のコミュニティが家族のような関係を築くことについて考察する。

Part 2|2021年12月4日(土)~2022年1月16日(日)

企画者 エレナ・ノックス
企画名 「Actroid Series II」
簡単な会話や受付業務を行うロボットや、バーチャルアシスタントに焦点を当てたインスタレーションを発表する。生身の男性の眼差しを埋め込んだ女性型ロボットのデジタルポートレートを用いて、女性的に見せかけたテクノロジーによる父権的な監視社会の密かな乗っ取りを検証する。

企画者 ハラサオリ
企画名 「Odd Apples」
コラボレーター yuma kishi(AIアーティスト)
現代社会における「身体の集合性」をテーマに、日常生活や舞台上での集団的な動き、ユニゾンについて研究する。本展ではリサーチの一部として、人工知能に特定のダンサーの動きを学習させ、細かな癖や佇まいの解析を数値化、再構成させた映像インスタレーションを発表する。

パフォーマンス部門

会期中、特定の日時に上演します。鑑賞には事前予約と入場料が必要です。
実施日程や入場料金、予約方法等の詳細は、後日TOKASのウェブサイトおよびチラシにて発表します。

Part 1|2021年11月16日(火)~11月21日(日)
企画者 スペースノットブランク(代表:小野彩加、中澤 陽)
企画名 「クローズド・サークル」
演 出 小野彩加、中澤 陽
出 演 古賀友樹 他
制作の過程でクリエーションメンバーが発した言葉を集積し、編集したテキストをもとに構成されるスペースノットブランクの舞台作品の制作手法を起点に、テキストの意味伝達の可能性に着目した新しい上演形態を探究する。

Part 2|2021年12月7日(火)~12月12日(日)
企画者 KYICC 2021 Committee(代表:樋口鉄平)
企画名 「米田恵子国際作曲コンクール」
出 演 樋口鉄平、井上郷子、坂本光太、溝淵加奈枝、ルツィエ・ヴィッコヴァ
架空の芸術家「米田恵子」を記念した国際作曲コンクールを実施。一般に公募を行い、演奏会形式の本選会を行う。「米田賞」という名誉/賞金の授与により、文化や資本の再分配という側面を持つコンクールの演劇性・虚構性を提示する。

Part 2|2021年12月14日(火)~12月19日(日)
企画者 敷地 理+早川葉南子
企画名 「dragging(仮)」
出 演 敷地 理、早川葉南子、他数名を公募にて決定
権力者の銅像を押し倒し引きずるドラッギングに着目し、ダンスというメディアをとおして「どのように個人が集団になるか」を思考する。TOKAS本郷、路上、オンラインでパフォーマンスを同時進行し、それぞれの場の異なる性格を浮かび上がらせる。


dot部門

会期中、特定の日時に実施します。入場無料。

Part 1|2021年10月26日(火)~11月4日(木)
企画者 OLYMPICNIC(代表:寺田衣里)
企画名 「OLYMPICNIC MUSEUM」
出 展 寺田衣里、森山晴香
スポーツ・文化・歴史・政治などの観点から、オリンピックを見つめ直すプロジェクト。日本オリンピックミュージアムの展示方法を参照しながら、これまでの活動記録や制作物を展示し、オリンピックやスポーツにおける「観客」の意味を再考する。

Part 1|2021年11月9日(火)~11月14日(日)
企画者 住吉山実里
企画名 「筆談会 これより先、無言」
会場内での一切の発話を禁じ、設置された大きな紙の上での筆談によって対話を行う「筆談会」を開催する。特殊な状況下に置かれた参加者は、言葉や絵を紙に記しながら互いの存在を確認し、新たな身体感覚を発見する。

TOKAS 推奨プログラム

開館時間 11:00~19:00。入場無料。 

Part 2|2021年12月24日(金)~2022年1月16日(日)

企画者 坂東祐大
企画名 「坂東祐大×文月悠光 二人展(仮)」
コラボレーター 文月悠光(詩人)
かつて「インターナショナル・アンサンブル・モデルン&トーキョーワンダーサイト・アカデミー Vol.6」(2013)に参加し、現在作曲家として多方面で活動している坂東祐大が、同世代の詩人、文月悠光とのコラボレーションにより、実験的なサウンド・インスタレーションを発表。文月による本展のための書き下ろしテキストをもとに、解体された言葉の音、響きで空間を構築する。

募集概要

※今年度は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、応募対象を日本国内在住者に限定しました。
募集期間
2021年2月25日(木)~3月24日(水)
応募総数
153企画
審査員小林晴夫(blanClass ディレクター)
桜井圭介(音楽家、ダンス批評)
畠中 実 (NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] 主任学芸員)
近藤由紀(トーキョーアーツアンドスペース プログラムディレクター)

審査員による講評

小林晴夫(blanClassディレクター)

今年のOPEN SITEの公募も昨年同様、緊急事態宣言と重なった。応募された企画は、当然のことながらコロナ禍での心情が反映されたものが目立っていたが、そればかりではなく、オリンピックの行方、日々更新される不穏な世界情勢、多様な価値観の実際のあり方など、じわじわと間近に迫る問題に向き合おうとする姿勢、あるいは表現の場が極端に制限されたためにコロナ以前にやり残した課題への決着を切望する企画なども見受けられた。共感できるものも多く、選考はまたしても難航したのだが、最終的に残ったのは、コンセプトへの共感だけではなく、困難な状況にも関わらず、表現の実験的な姿勢を諦めない、さらには興味深いユニットやコラボレーターがいるような開かれた企画だったように思う。年末の発表は、また今とは違う状況下で開催されることになると思うが、コロナ以前と収束後を結びつけるような表現を期待している。


桜井圭介(音楽家、ダンス批評)

一次選考で拝見した企画も含め全体的に「みなさん真面目だなー」というのをまず思いました。時代でしょうか?自分が「不真面目」な人間だからか、どちらかというと「不真面目」な傾向のものを好むのでよけいにそう感じた、というのはもちろんあるのですが、もしかして「コロナのヤツのせい」なのかもしれません(いわゆる「自粛」というアレです)。とはいえ、最終的に選ばせていただいた企画はいずれも「なんじゃこりゃ!?(いい意味で)」「なんかよくわかんないなー(いい意味で)」「フザケるにもほどがある!(いい意味で)」なシロモノになったのではないかなと。あ、でも、僕1人で決めたのではなく選考委員の全会一致(たぶん)でしたので、あーやっぱそうか、と(内心ほっとしました)。


畠中 実 (NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] 主任学芸員)

昨年からの新型コロナウイルス感染拡大の状況が、なかなか収束の兆しを見せないまま、展覧会や公演などの文化活動が、いつ突然打ち切られたり、中止になったりするか、先の見えない不確実な時代に入ってしまった。そうした活動を支援する目的のTOKASや、その公募企画であるOPEN SITEも、当然、不確実な状況の中で活動していることに変わりはない。ゆえに、極論すれば会場がなくても実施可能、くらいのアイデアがあってもよかったのだが(近いものはあった)、そういうことは応募要項には書いていないのでしかたがない。逆に会場を使って会場にくる観客を前提にした企画ということを、こちらも判断の基準にしなければならない。とはいえ、こうした状況を反映した企画もあり、同時代性を持ったテーマやメディアの使用など、ただ時流に乗るのではない、この状況が、なにか応募者自身の表現語彙を広げていると感じたものが、選出された企画に際立った特徴のように感じた。


近藤由紀(トーキョーアーツアンドスペース プログラムディレクター)

今回の選考では、コロナ禍での社会状況や、行動制限に由来する不自由さ、そこから得た知見や実際の困難さが企画に内包されているのが目についた(当然あえて関連付けていない企画も多数あった)。それと同時に、個人の行動に作用する世界規模の出来事が作品の見え方や捉え方に少なからず影響を与えるということも実感させられた。それは作る側と見る側の双方が変転し続ける世界を引き受けながら、同時代の芸術場に立ち会っているのだということを改めて認識させた。企画の選出には、当然のことながら現状への対応が特段配慮されたわけではなく、各企画の試みやアイデアの実現化へのプロセスや意欲、そしてその説得力などに対する評価が基盤になっている。それは通常のプロセスでもあるのだが、私たちがこれまで以上に同じ背景を持っている今、採択された企画がどう立ち上がり、どう見えるのかが楽しみである。

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