「OPEN SITE 2017-2018」企画決定!+審査員による講評

「OPEN SITE 2017-2018」企画決定!+審査員による講評

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OPEN SITE 2017-2018の実施企画が決定しました。


第1期 | 2017年10月14日(土)~2017年11月26日(日)
キム・ウジン(韓国)
「Brave New Exercise: Memorized Movements」〔展示〕

長谷川 新(日本)
「不純物と免疫」〔展示〕

reConvert project(スペイン)
「reC_TECH」〔パフォーマンス〕

Dr. Christian Dimpker(ドイツ)
「Grau-braun-weiße Ware」〔パフォーマンス〕


第2期 | 2017年12月9日(土)~2018年1月28日(日)
黒田大祐(日本)
「不在の彫刻史」〔展示〕

IP Yuk-Yiu(香港)
「PLAY.GROUND: video game art from Hong Kong」〔展示〕

Galvanize and Fretwork Ensembles(イギリス)
「Happenstance」〔パフォーマンス〕
※企画タイトルは応募時のものです。実施の際に変更になる場合があります。


上記企画に加え、TWS推奨企画として

Raewyn Hill & Naoko Yoshimoto
「Garden of Silence」
を実施します。
※出演者の都合により実施しないこととなりました。(2017年7月21日)

審査員による講評


ジャンルを不問とした「企画」の公募である。便宜上「展示」と「パフォーマンス」に区分されているが、それはあくまで運営上の形態であって、ジャンルを示すものではない。一見すると「自由」なようだが、実際は極めて高度な要件が横たわっている。大概の「自由」はジャンルの範囲内においてのみ謳歌されている。なんでもやっていい、のは枠組みが設定されているからだ。その自由は、枠組みの外から見ると不自由さの表明であり、往往にして滑稽であったりもする。したがって、この公募ではレベルを一つ上げて、「ジャンルとは何か」、「展示とは」、「パフォーマンスとは」という反省性を導入する必要があるだろうし、その企画の必要性・必然性を丹念に「大きな言葉」で、つまり歴史性と社会性を備えた言葉で説明しなければならない。かようなことを考えながら審査をしていたが、その要件を満たす優れた企画に出会うことができた。私自身も大いに刺激された。これより後は、企画の実現に必要な「実践的な知」・「技術」を企画者が有しているかどうかが残されている(これだけが審査できないものでもある)。ともあれ、実現の日を楽しみに待ちたい。

遠藤水城
(インディペンデント・キュレーター、HAPSエグゼクティブ・ディレクター)


今回は応募数が昨年よりも大幅に増し、自身の企画を発表する機会が現在いかに貴重であり、またそれが待望されているかが表れているように思った。実際、その応募されたさまざまな企画者とその企画案には、個人的であれ社会的であれ、作品や展覧会がどのように現在的な問題意識との関わりにおいて成立するべきかを考えさせるものも多く見られた。その中で、展示部門では、展覧会という表現形式と言ってもよい、制作および発表におけるキュレーションという意識を感じさせるものを推した。パフォーマンス部門では、ダンス、演劇、音楽といったジャンルの応募がある中で、コンサートという制度や現代音楽の現在性とは何かを考えさせるものにそうした意識が明確に表れていたように思う。ゆえに音楽よりの企画が多く選ばれることになった。両部門において、それが現在の展覧会やコンサートの発表のありようを批評的に照射するものになることを期待します。

畠中 実
(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]主任学芸員)


第一回目ではそれほど意識していなかったのだが、「ジャンルの制限なし。TWS本郷で実現可能な企画を募集!」というオープンサイトの価値を強く感じた審査会だった。作家の作品展示だけでなく、展覧会自体の企画、学術的研究と分かちがたいような「作品」など、今日の芸術/アートを真剣に考えるならばある意味では当然の、独創的で真摯な応募が多数寄せられた。また、パフォーマンス部門では結果として、正確に記譜されたれた作品も含む、常識的には作曲コンクールに応募されてもおかしくない作品ばかりが選ばれた。それらの実演がとても楽しみな一方で、もし、このような挑戦がオープンサイトでしか聴けないのだとしたら、同時代に生きる作曲家としてそれを喜ぶべきか、悲しむべきなのか、とても複雑な気持ちにもなった。

三輪眞弘
(作曲家、メディアアーティスト、情報科学芸術大学院大学学長)


昨年から始まった「オープンサイト」の第二回目である今回、応募者数は昨年を上回り、海外からの応募は全体の六割を占めた。展覧会企画とパフォーマンス企画に分かれてはいるものの、「すべてのジャンルに創造の場を開く」ということは、多様なジャンルからの提案を同じ土台の上で審査することである。キュレーション企画とアーティストの展示計画、各ジャンルの特性に特化した実験的な試みと領域横断的な試み、完成が開かれた過程重視の企画と完成企画のプレゼンテーション。それぞれに異なる魅力と実施意義があり、力点が異なるそれぞれの企画に対し、その都度議論を重ねて選出した。それぞれの特性がどう発揮され、全体の企画を通じてその差異がどう見えるのかが気になっている。

近藤由紀
(トーキョーワンダーサイト/東京都現代美術館 育成支援課長)


募集期間: 
2017年2月28日(火)~4月19日(水)

実施期間: 
第1期|2017年10月14日(土)~2017年11月26日(日)
第2期|2017年12月9日(土)~2018年1月28日(日)

応募総数: 
合計283企画

審査員:
遠藤水城(インディペンデント・キュレーター、HAPSエグゼクティブ・ディレクター)
畠中 実 (NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]主任学芸員)
三輪眞弘(作曲家、メディアアーティスト、情報科学芸術大学院大学学長)
近藤由紀(トーキョーワンダーサイト/東京都現代美術館 育成支援課長)

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