在ることの再演

TOKAS Project
本郷

在ることの再演

TOKAS Project Vol. 9

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「再演」という行為をとおして、現代における生を見つめ直す展覧会

TOKAS Projectは、国際的な交流を促進し、多文化的な視点で多様なテーマについて思考する展覧会プログラムです。9回目となる今回は、トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)とソウルとの交流20周年を記念し、過去にレジデンス・プログラムに参加した日韓のアーティストを中心に、自身の身体経験を軸に現実を紡ぎ直す5名のアーティストによる展覧会を開催します。本展では、歴史、生命、人間、身体性、社会といった多様な対象を「再演」の視点から捉え、フィクション、彫刻、デジタルメディア、身体表現など、それぞれ異なる芸術実践をとおして、「在ること(存在)」を再びこの場に立ち上げ、今日における生の在り様を再考することを試みます。

芸術の歴史において、人間は、目の前に在る世界や生命の存在を、時の流れから引き離し、絵画や彫刻、写真や映画/映像によって固定し、永遠の生としてつなぎとめようとしてきました。また演劇や舞踊、パフォーマンスといったライブ・アートは、パフォーマーの身体的な演技を通じて、現実世界における生を、その場に現前化することを探求してきました。それは絶えず変化し、次の瞬間には掴むことができない一回性の生を、現在の身体をもって呼び起こし、 時間や場所を越えて他者と共有しようとする芸術の動的な営みです。  

本展では、アーティストたちがそれぞれ異なる視点から観察した生の姿を、展示空間に再び立ち上げる行為(=再演)をとおして、その瞬間の彼らの感覚や視点から新たな解釈を促し、現代における生の本質を見つめ直すことを試みます。ここでは、単に現実を写しとり過去を再現するのではなく、その時の記憶や感情といった固有の身体経験を含めた現実を肉体化し、現在進行形のものとして捉えていきます。彼らの実践は、生きることの裏側に積み重なるいくつもの層を掘り起こし、「いま、ここに在ること」の複雑で不確かな生を眼差すきっかけを与えてくれるでしょう。  

開催概要

タイトルTOKAS Project Vol. 9「在ることの再演」
会期
2026年10月3日(土)- 2026年11月8日(日)
時間
11:00-19:00(入場は閉館30分前まで)
休館日月曜日(10月12日は開館)、10月13日(火)
会場
トーキョーアーツアンドスペース本郷(東京都文京区本郷2-4-16)
入場料
無料
アーティストウン・ジェピル
キム・ドヒ
ク・ドンヒ
パク・ミンハ
三野 新
主催トーキョーアーツアンドスペース(公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館)
協力SeMAナンジ・レジデンシー、MMCAレジデンシー
後援駐日韓国大使館 韓国文化院

参加アーティスト (展示構成順)

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《Untitled (Research photographs)》 2025
写真
© Arata Mino

【歴史の再演】ー戦争の気配とともに生きる生ー

三野 新
|MINO Arata

周縁化された場所やものに残る記憶や風景を繋ぎ、「ここ」と「あそこ」の中間項を見つけ前景化させることをテーマに研究と実践を行う三野新は、主に自身で撮影した写真や映像をもとに制作したフィクションを、自己と他者の身体やさまざまなメディアを用いて発表する領域横断的な活動を展開しています。
今回、三野は韓国の龍山米軍基地や戦後の占領期に関する歴史のリサーチ、また戦争が現在の日常生活や身体に及ぼしている影響への考察をもとに、戯曲「温室/オンシル」を書き下ろしました。本展では、その舞台となる温室を実際に展示空間に立ち上げ、「石」、「鉄線」、「トラック」という三つのモノの会話によって紡がれる物語を、オブジェクト・シアター*の手法によってインスタレーションとして「上演」し、日本と韓国の関係をめぐる歴史を客観的な事実としてではなく、現在の自分自身の現実として捉え直すことを促します。

*モノを命あるものとして見立てて動かし、物語や感情を表現する舞台作品の形態

[プロフィール]
福岡県生まれ。東京都と神奈川県を拠点に活動。2017年東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。主な展覧会に「ぬけみち展 かわす・つくる・ともにいる―生きるための回路」(アーツ前橋、2026)、「山本卓卓&三野新『ここに立ち、ここに立つ』」(サッポロ・パラレル・ミュージアム、2024)、「外が静かになるまで」(十和田市現代美術館 space、青森、2023)など。2025年度二都市間交流事業プログラムでSeMAナンジ・レジデンシーに滞在。 


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《Sea Snake Six Navels》2026
参加型の楽器彫刻、銅、インタラクティブな音響グラフィック・ システム、照明
撮影:Dohee Kim

【生命のつながりの再演】ー関係の中で存在する生ー

キム・ドヒ
KIM Dohee

キム・ドヒは、「物質としての身体」が生み出す摩擦や熱などの動的なエネルギーに関心を寄せ、それらが伝達される経路を探索し、そこに自身の身体を介入させることで、自己と他者、人工と自然、生と死の間の境界が曖昧になる儚い瞬間を捉えることを追求しています。また彼女の作品は、即座の反応を引き出すことよりも、時間の経過に伴うエネルギーの堆積によって形成される感覚の層を明らかにすることに重きを置いています。
2018年よりキムは、人間の生命の根源を象徴する「おへそ」に着目し、人々のおへそを型取るプロジェクト「Navel Mountain」を継続的に行い、その過程の中で生まれるコミュニケーションを通じて、無数の人々との関係から成る生のつながりを体感する場を創出してきました。本展では、おへそのモチーフを拡張した鐘の彫刻作品《Navel Strike》を発表し、鐘を鳴らすという鑑賞者の身体的行為によって生じる音の振動を空間内に共鳴させます。 

[プロフィール]
1979年釜山生まれ。ソウルを拠点に活動。2006年弘益大学修了(美術学)。主な展覧会に「Boundaries Resonate, Life Overflows」(Gimhae Museum of Art、金海、韓国、2026)、「Chanting the Henʼs Dream: Phantom Sensation」(Yangju Art Studio 777 Residence、楊州、韓国、2025)、「The Sound of Light Surface」(Seongbuk Young Art Space、ソウル、2024) など。2018 年度二国間交流事業プログラムでTOKAS レジデンシーに滞在。


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5.《 Time Paradox》スチール写真 2024
映像
© Minha Park 

【テクノロジーによる人間の再演】ー機械と人間の間を揺れ動く生ー

パク・ミンハ
PARK Minha

パク・ミンハは、実際の出来事や資料にもとづいた綿密なリサーチを下敷きに、SFとドキュメンタリーを融合し、映画や映像インスタレーション、出版物、音響作品など、多角的な実践をとおして、私たちの感覚世界を形作る枠組みを解読し、隠された物語を明らかにすることを探究しています。とりわけ科学や歴史、メディア技術から派生した視聴覚的な副産物である光学の系譜に関心をもち、モノや場所、オンライン・アーカイブに現れる副産物をたどることで、そこに宿る亡霊のような見えざる者の声を発見し、物語をとおして可視化することを試みています。
本展では、今日のテクノロジー企業における盲目的な効率性や精度への追求といった資本主義的な欲望によって、人間の労働がロボットやAIに代替され、絶え間なく稼働する工場が大量消費社会を助長し、テクノロジーの超生産性に人間が支配されていく現実を前に、デジタルに還元できない人間性とは何か、生命とは何か、映像作品をとおして問いかけます。

[プロフィール]
1985年ソウル生まれ。ソウルを拠点に活動。 2013年カリフォルニア芸術大学修了(美術)。主な活動に、上映「CPH:DOX 2025 NEW VISION AWARD」(Kunsthal Charlottenborg、コペンハー ゲン、2025)、展覧会「The Second Life」(アトリエ・エルメス、ソウル、2025)、展覧会「Foreverism: Endless Horizons」(イルミン美術館、ソウル、2024)など。2025年度二都市間交流事業プログラムでTOKASレジデンシーに滞在。


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「Blue Night, Blue Shadows」2025 
パフォーマンス 
撮影:Sung Eui Suk

【女形の身体性の再演】ー現代の身体をとおして体現する過去の生ー

ウン・ジェピル
EUN Jae Pil

ウン・ジェピルは、移住の記憶という視点を通じて「帰属」や「故郷」の意味を探求し、簡単に翻訳できない個人的な感情や周辺的な歴史に焦点を当てています。彼の作品は、伝統と現代性、そして西洋中心主義社会によってしばしば定義される男性的・女性的な概念の境界を解体することで、言葉による説明を超越した感覚的な体験をもたらします。  
2020年よりウンは、京劇の名女形・梅蘭芳(メイ・ランファン)が考案した女形を表現する12 のポージングと53 の手の動きを収録した希少な記録集との出合いをきっかけに、女形の研究を行っています。また、現存する数少ない京劇の女形の師匠のもとで演技の技術を磨き、自身の身体をとおして梅蘭芳の身振りを演じ直すことで、生物学的な性別に囚われないクロスジェンダーな身体感覚を模索してきました。本展では、ウンが梅蘭芳の踊りを体現するパフォーマンスや銅版画作品によって、かつて存在した女形の姿を現代に蘇えらせることを試みます。日本での作品発表は本展が初。

[プロフィール]
1991年原州(ウォンジュ)生まれ。韓国とオランダを拠点に活動。2021年サンドベルグ・インスティチュート、アート・デザイン科修了。2017年中央大学(ソウル)写真学科卒業。 主な活動に、パフォーマンス「Blue Night, Blue Shadows」(Seo-Seoul Museum of Art、ソウル、2026)、パフォーマンス/個展「Red Celebration」(Vleeshal Center for Contemporary Art、ミデルブルフ、オランダ、2025)など。


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《Delivery》2019
インスタレーション
撮影:Yeonje Kim

【現代社会における身体感覚の再演】ー社会の規範の中で形成される生ー

ク・ドンヒ
KOO Donghee

ク・ドンヒは、日常の何気ない出来事や、テレビ、インターネット、都市生活といった身の回りの断片的な要素を素材に、それらをサンプリングしながら作品を再構成し、その中に不条理で奇妙な事象を介在させることで、私たちの知覚を揺さぶり、当たり前の中に潜む違和感を浮かび上がらせます。また制作過程において、あえて即興的なハプニングやゲームのようなルールを設けて緊張感を与え、予測不可能な展開を呼び寄せます。その表現方法は、 映像、写真、彫刻など異なるメディアを融合させたインスタレーションを特徴とし、特定の政治的・社会的な課題を直接的に示唆するのではなく、社会のシステムの限界を、ユーモラスかつアイロニカルに取り上げ、観る者の視覚と心理に巧みに訴えかけます。  
本展では、超情報化社会に従属する現代の私たちの意識や感覚を探る映像作品をとおして、社会的な日常生活の中で形成された私たちの身体的な習性や固定化された規範を攪拌します。

[プロフィール]
1974年ソウル生まれ。ソウルを拠点に活動。2000年イェール大学美術学部大学院修了(彫刻)。1998年弘益大学彫刻学科卒業。主な展覧会に「Dear Alexa」(Art Archives Seoul Museum of Art、ソウル、2026)、「Tabula Rasa」(Audio Visual Pavilion Lab、ソウル、2023)、「Delivery」(Art Sonje Center、ソウル、2019)など。2007年度二国間交流事業プログラムでトーキョーワンダーサイト青山に滞在。

ソウルの提携機関について

TOKASは2006年から現在まで、ソウルの4つの提携機関と協働し、相互にアーティストの派遣を行っています。(カッコ内は派遣/招聘年度)

サムジースペース| SSamzie Space(提携期間:2006年~ 2009年)
派遣作家:大巻伸嗣(2006)、佐々木愛(2008)、江幡京子(2008)
招聘作家:キム・ジンラン(2006)、ク・ドンヒ(2007)、パク・ミナ(2008)

サムソ| SAMUSO(提携期間:2009年)
派遣作家:栗林 隆(2009)

MMCA レジデンシー・コヤン| MMCA Residency Goyang(提携期間:2012年~ 2018年)
派遣作家:土屋信子(2012)、二藤建人(2013)、伊藤久也(2014)、播磨みどり(2015)、山本高之(2016)、鎌田友介(2017)、 牧園憲二(2018)
招聘作家:ユン・スンジ(2012)、シム・レジャン(2013)、キム・テドン(2014)、チョン・ジヒョン(2015)、コ・ジェウク(2016)、イ・スヨン(2017)、キム・ドヒ(2018)

SeMA ナンジ・レジデンシー| SeMA Nanji Residency(提携期間:2019年~現在)※ 2020 ~ 2023年度は休止
派遣作家:菊地智子(2019)、金 サジ(2024)、三野 新(2025)、髙橋健太郎(2026)
招聘作家:チョン・ジェヨン(2019)、アンナ・ハン(2024)、パク・ミンハ(2025)、キム・イェスル(2026)

※下線は本展参加アーティスト

関連イベント

アーティスト・トーク
日時2026年10月3日(土)15:00-17:00
出演ウン・ジェピル、キム・ドヒ、ク・ドンヒ、パク・ミンハ
会場トーキョーアーツアンドスペース本郷
料金無料
言語日英逐次通訳

※日程および参加アーティストは変更となる場合があります。
※手話通訳をご希望の方は、「10/3トークの手話通訳希望」と件名に記載のうえ、9月16日(水)までにメールでご連絡ください。
E-mail: public_program[at]tokyoartsandspace.jp [at]を@に変えてください。


パフォーマンス|ウン・ジェピル
日時2026年10月3日(土)17:30-18:00   
出演ウン・ジェピル
会場トーキョーアーツアンドスペース本郷
料金無料

※日程および参加アーティストは変更となる場合があります。

演劇パフォーマンス|三野 新
日時2026年10月10日(土)15:00-16:00
演出山本浩貴(いぬのせなか座)
会場トーキョーアーツアンドスペース本郷  スペースA(1F)
料金無料
言語日本語

※日程および参加アーティストは変更となる場合があります。

アーティスト・トーク|三野 新
日時2026年10月10日(土)16:00-16:30
出演三野 新
会場トーキョーアーツアンドスペース本郷  スペースA(1F)
料金無料
言語日本語のみ

※日程および参加アーティストは変更となる場合があります。
※手話通訳をご希望の方は、「10/10トークの手話通訳希望」と件名に記載のうえ、9月16日(水)までにメールでご連絡ください。
E-mail: public_program[at]tokyoartsandspace.jp [at]を@に変えてください。


参加クリエーター

パク・ミンハ
キム・ドヒ
ウン・ジェピル
ク・ドンヒ
三野 新

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