停滞フィールド 

ACT(Artists Contemporary TOKAS)

停滞フィールド 

ACT (Artists Contemporary TOKAS) Vol. 2


展覧会について ※2/29(土)~中止

TOKASでは、これまで公募展や企画展、海外派遣などを通じて、アーティストを段階的、継続的に支援し、またその活動を紹介してきました。2018年度より開始したシリーズ「ACT」では、TOKASのプログラムに参加経験のあるアーティストを中心に、今注目すべき活動を行っているアーティストの企画展を開催します。

「停滞フィールド」とは、SF小説やゲームなどで使用される言葉で、時間が停止しているか、また極度に遅延され、物体が停止しているようにみえる領域を指します。「停滞フィールド」にある物質は、時間が止まり、結晶化することで凝視できる状態になる、あるいは遅くなることによって歪みが生じます。そうした特殊な場所での体験は、既存の考えやこれまでの感覚を変化させる転機となるかもしれません。 本展で紹介する3組は、それぞれの観点から時間を停止したり、遅らせたりして凝視できる状態にし、その停滞によって生じる差異やズレ、歪みを積極的に受け入れて作品に表しています。あらゆる事象が高速化し、処理されていく現代社会において、「停滞フィールド」をとおして空間や認識を変容させることを試みます。 

タイトル停滞フィールド
会 期2020年2月22日(土) - 2020年3月22日(日)
休館日2/25、3/2、9、16
時 間11:00 - 19:00
入場料無料
主 催トーキョーアーツアンドスペース(公益財団法人東京都歴史文化財団東京都現代美術館)
会 場トーキョーアーツアンドスペース本郷
アーティスト田中秀介、広瀬菜々&永谷一馬、渡辺 豪
協力ANOMALY

田中秀介 | TANAKA Shusuke
1986年和歌山県生まれ。大阪府を拠点に活動。
2009年大阪芸術大学美術学科油画コース卒業。主な展覧会に「忘れようとしても思い出せない」(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、滋賀、2019)、「清須市はるひ絵画トリエンナーレアーティストシリーズ Vol.87田中秀介展 ~カウンターライフ~」清須市はるひ美術館、愛知、2018)、「TWS-Emerging 2016『円転の節』」(TWS渋谷、東京)など。


広瀬菜々&永谷一馬 |
HIROSE Nana & NAGATANI Kazuma
1980年大阪府生まれ(広瀬)、1982年兵庫県生まれ(永谷)。ドイツを拠点に活動。
共に2014年ブレーメン芸術大学美術学部マイスターシューラー修了。2005年京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程修了(広瀬)。2004年京都精華大学芸術学部造形学科陶芸分野卒業(永谷)。主な展覧会に「Out of the Ordinary」(ウルム芸術財団、ドイツ、2019)、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(新潟、2018)など。「TWSリサーチ・レジデンス・プログラム 2017」参加。



渡辺 豪 | WATANABE Go

1975年兵庫県生まれ。東京都を拠点に活動。
2002 愛知県立芸術大学美術研究科油画専攻修了。主な展覧会に「あざみ野コンテンポラリーvol.8 渡辺豪 ディスロケーション/dislocation」(横浜市民ギャラリーあざみ野、2017)、「光差 - 境面 III -」(URANO、東京、2017)など。

アーティスト・ステートメント

■田中秀介
ふと辺りを見渡せば、あらゆる事物が乱立し、それらは各々固有の方向性を保ちながら重なり合い、一挙に光景として眼前に立ち現れる。それはやがて更新され、同一の光景が繰り返される事はない。 この明瞭かつ漠然と際限なく続く、何を指し示すかもわからない光景に、把握への糸口を見出そうと、矢継ぎ早に注視する。得られるものは総体としての、形、色、奥行きだけであり、この光景が与える返答と自身の求める返答の齟齬や、理解に及ばない自身の拙さを自覚する事となる。 依然対象の光景は更新を続け、以前の姿の情報を携える私を残し、別の光景へと成り代る。 同一の光景が繰り返される事もなく、無論それをそのまま再現する術も持ち合わせていない。結果、光景の体現へと帰結する。この体現への取り組みが私にとって、描く事となる。 描く事は自身の身体をもって成す事で、震えや描き損じなど身体から拙さが生じる。そして対象となる明瞭かつ漠然と際限なく続く光景を、この限られた枠の中に強引に収める事により、齟齬が生じる。 これらの描く事で生じる拙さや齟齬が、光景と対峙し自覚した拙さや齟齬と支持体上で重なり合い、体現の要となる。 よって体現された光景は、何を指し示すかもわからない光景に折り合いをつけ、何かを指し示す光景へと更新される。

■広瀬菜々&永谷一馬
「私たちはどのような地点に立ち、いったい何をどのように知覚しているのか。」
2007年にドイツに渡り、ベルリンからブレーメン、デュッセルドルフ、ウルムなど都市を移動しながら制作してきました。 その間には、日独のみならず世界各地で様々な災害や紛争が起こり、人々の日常が失われ続けています。ヨーロッパにも多くの難民が押し寄せ、家のすぐ近くに受け入れ施設が建ち始める一方で、ナショナリズムの台頭は加速し、EUによる欧州統合の幻想もほころびを見せています。
人々の日常や価値観が揺るがされる中、現実は思うよりも複雑で、それらを単純化したり、一つの視点から語る事の不可能性を、私たちは今、目の当たりにしています。
そのような状況のなか、改めて自らの足元を見つめ直し、私たちはいったいどのような地点に立ち、何をどのように知覚しているのか、それらを意識的に主題とし制作することで、私たちは慣れ親しんだ物事への視点や、既存の価値観を問いたいと考えています。 

■渡辺 豪
ソファーに腰を落として部屋をみわたす。正面より少し右手には取り込まれた洗濯物が揺り椅子の上に積まれている。左手には床から積み上げられた本の塔が二つ、寄り添うように立っている。洗濯物と本のどちらも上へ上へと線的に重なっていて、地層が時間の蓄積と場所の連なりを示すように、その場所の時間と空間的な連続性を表わすタイムラインを作り出しているが、タイムラインの連続性は部屋を満たす光がそれらの形と関係を明らかにすることによって保たれている。  
その光をそれぞれ、重なりごとに取り替えてみようと思う。洗濯物では一日という時の流れを生み出す光の順序を入れ替え、積まれた本ではいくつかの場所と時間から切り取った光を無作為にあてがうことで。光による時間と空間の関係性が失われたとき、何がみえるだろうか。 


展示風景

田中秀介 

田中秀介《平和》
2020
キャンバスに油彩

田中秀介

広瀬菜々&永谷一馬 《Still life》
2013年からの継続作品
磁器、サイズ可変

広瀬菜々&永谷一馬《Still life》

広瀬菜々&永谷一馬《Still life》

渡辺 豪《積み上げられた本》
2019-2020
アニメーション(ダブルチャンネル)、30分

渡辺 豪《積み上げられた本》

渡辺 豪《まぜこぜの山》
2016
アニメーション、24分

交流室での展示

田中秀介《こ》
2019
キャンバスに油彩

広瀬菜々&永谷一馬《Kartoffel》
2015
ブロンズ鏡面仕上げ

関連イベント

「停滞フィールド」 アーティスト・トーク
開催日時2020年2月22日(土)16:30 - 18:00
会場トーキョーアーツアンドスペース本郷
出演田中秀介
広瀬菜々&永谷一馬
渡辺 豪


入場無料/予約不要


参加クリエーター

渡辺 豪
広瀬菜々 & 永谷一馬
田中秀介

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