更新日:2026.4.1
| 参加プログラム | 二都市間交流事業プログラム(招聘) |
|---|---|
| 活動拠点 | ベルリン |
| 滞在都市/滞在先 | 東京 |
| 滞在期間 | 2025年9月 - 2025年11月 |
TOKASでのレジデンス期間中、香りの政治性と、記憶、コミュニティ、癒しと香りの関連性に対するリサーチの発展を目指している。とりわけ香道に代表される、日本の長い嗅覚文化は、香りと儀式がどのようにして集団的な帰属意識を形成してきたかを考察するうえで、独自の文脈を有している。 リサーチ、対話、そして実験的な制作を通じて、地域に根ざした物語や経験に着想を得た嗅覚インスタレーションおよび香りの儀式の創作を行う予定である。また、現地のアーティスト、科学者、地域コミュニティとの協働を通じて、持続可能なネットワークの形成と文化的な交換を促進していくことを目指している。
滞在期間中、歴史的調査、素材を用いた実践、そして芸術的交流を通して、日本の嗅覚文化に関する集中的なリサーチを行った。香りがいかにアイデンティティや文化的帰属意識の指標として機能してきたのかを理解するため、香道の儀式に参加した。京都、奈良、淡路島を巡る香りを主題としたリサーチ旅行を実施し、奈良の正倉院宝物庫を訪問して、初期の香料素材や古代の香の調合法、そして香りが長い歴史の中で流通してきた過程について学んだ。東京および淡路島での線香作りのワークショップを通じて、実践的かつ素材的な知識を深めた。 また、専門的な交流もレジデンスの重要な要素であった。上田麻希が主宰するSmell Labに参加し、京都や東京の学術的な場を訪問したほか、嗅覚・芸術・科学の交差領域で活動するアーティストや研究者と交流した。これらの活動と並行して、Glass Rootsとの協働により彫刻的な香りの器を制作し、地域固有の植物の物語に根ざした新作の香りを二点制作した。

ガラス吹き、Glass Roots墨田
写真:Kuba Rudzinski

香道の儀式
写真:Kuba Rudzinski
TOKASでのレジデンスは、香りを文化的かつ政治的なメディアとして捉えるための、リサーチ、実験、対話の枠組みを提供するものだった。伝統的な香の実践と、現代の芸術および学術的文脈の双方に関わりながら、香りが儀礼、記憶、権力構造のシステムの中でどのように機能しているのかを探究した。京都嵯峨芸術大学、法政大学、文京学院大学の研究者との対話によって、調査の射程はさらに広がった。地域の職人との素材的な協働を通じて、ガラス器や彫刻的要素を制作した。 本レジデンスは、ヒノキと樟脳に捧げた二つの新作の香りを含む作品群として結実した。これらの香りは、儀礼的使用、植民地的搾取、技術的変容という対照的な歴史を反映している。このレジデンスを通じて、長期的な専門的ネットワークが形成され、今後の協働プロジェクトに向けた基盤が築かれた。

オープンスタジオ
写真:Kuba Rudzinski

オープンスタジオ
写真:Susumu Moritaki

オープンスタジオ

オープンスタジオ
写真:Susumu Moritaki

オープンスタジオプレゼンテーション
写真:TOKAS