タイラー・コバーン

レジデンス・プログラム

海外クリエーター招聘プログラム

更新日:2023.1.16

タイラー・コバーン

参加プログラム海外クリエーター招聘プログラム
活動拠点ニューヨーク
滞在都市/滞在先東京
滞在期間2023年1月 - 2023年3月
滞在目的

日本での滞在中、人々が石に変わる歴史上のさまざまな瞬間を想像するエピソード形式のプロジェクト「The Petrified(石化)」への取り組みを継続する。多くの魔術リアリズム作品と同じくこの奇妙な構想は寓意的に機能する。石化という現象は歴史的記録における重要な出来事を再定義する方法である。「The Petrified」の最初の章では、21世紀のグローバル化した美術館に焦点をあてる。次の章では、1543年のヨーロッパ人と日本の最初の接触、真言宗の僧侶の即身仏、堀川紀夫や宮﨑凖之助らの作品などを交え、現実と空想の物語を構成していく。

滞在中の活動
  • ヨーロッパ人が日本と初めて接触した地・種子島を訪問
  • 神戸市立博物館、サントリー美術館、永青文庫などに所蔵されている様々な南蛮美術作品をリサーチ
  • MISA SHIN GALLERY、福岡市美術館、福岡県立美術館を訪問し、堀川紀夫、宮﨑凖之助の作品をリサーチ
  • 即身仏を観覧するため湯殿山にある寺院を訪問
  • 乾漆の技法を学び、奈良 興福寺の代表的な作品を観る
滞在中に行ったリサーチ及び制作活動

歴史がたどったかもしれない別のルートを想像する思考実験である反実仮想(Counterfactual)への興味のもと、滞在を開始した。この方法論を使って、16世紀に日本に初めてやってきたヨーロッパ人が日本文化の中でどのように表現されていたのか、また疾病がどのような役割を果たすことができたのかに着目し、リサーチを行った。

リサーチのために、関連する収蔵品を持つ博物館や図書館、南蛮オブジェを作る職人を訪問した。また、ヨーロッパ人が最初に漂着した種子島でフィールドワークを行った。同時に、胡粉の使い方を学び、パフォーマンスのための台本執筆と、翻訳家や俳優とのコラボレーションに取り組んだ。

その結果、胡粉を用いた壁面作品と2つの南蛮オブジェを中心とした、インスタレーションと一連のパフォーマンス《Candlestick Man》が完成した。パフォーマンスは、私が英語で、俳優の長沼航が日本語で、少人数の観客向けに行った。

滞在の成果

今回のレジデンシーは、私にとって初めて日本で滞在制作する機会だった。滞在を通して学んだ、胡粉や乾漆などの日本の素材や技法は、今後の作品制作にも取り入れたいと思う。

普段スタジオで制作を行わないので、オープン・スタジオで壁面インスタレーションを制作する機会を得たことは貴重だった。現在は、レジデンスでの実験の成果を活かし、TOKAS本郷での展示に向けて、より壮大な壁面インスタレーションを計画している。

クリエーター情報

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