【TOKAS本郷】「OPEN SITE 11」 実施企画決定

あらゆる表現活動が集まるプラットフォームの構築を目指し、2016年より始まったトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)の企画公募プログラム「OPEN SITE」の2026年度実施企画が決定しました。
2026年2月から3月にかけて実施した公募では482企画が集まり、書類審査と面接審査を経て展示部門4企画、パフォーマンス部門2企画、dot部門2企画を選出しました。さらにTOKAS推奨プログラム、TOKAS普及プログラムを加えた全10企画を、11月から2027年2月まで2会期にわたり開催します。 

実施企画

展示部門

開館時間:11:00-19:00。入場無料。
各会期初日には公募審査員をゲストに迎え、オープニング・トークを実施します。

Part 1|2026年11月21日(土)~12月20日(日)
企画者 劉 子涵(リュウ・ズーハン)
企画名 「エラーが現れるとき」
広告、ディープフェイク、AIによるコロニアルなまなざし、労働や社会管理の場における身体を手がかりに、映像やAI生成イメージを用いて、現実がシステムによって認識・分類される際に生じるずれを考察する。

企画者 Fransisca Angela(フランシスカ・アンジェラ)
企画名 「The Magnolia Grows at Night」
祖母とオランダ人修道女との友情を手がかりに、オランダ在住のインドネシア人修道女たちとの絆が受け継がれていく過程を辿った映像インスタレーション。

Part 2|2027年1月9日(土)~2月7日(日)
企画者 Eugene JUNG(ユージン・ジョン)
企画名 「SEWER vol. 1 Gomiyashiki」
ジン(Zine)的な思考の在り方を空間へと展開し、過剰な情報の集積が物質的な環境にいかに立ち現れるかを探求するグループ展。

企画者 原 千夏
企画名 「対岸」
潜伏キリシタンに関わる土地の記憶をテーマとしたシリーズの最新作の発表。長崎県五島列島を舞台に、文化や記憶を継承する人の存在に焦点を当て、重奏的な時の流れを体験として昇華させる。

パフォーマンス部門

会期中、特定の日時に上演します。鑑賞には事前予約と入場料が必要です。
実施日程や入場料金、予約方法等の詳細は、後日TOKASのウェブサイトおよびチラシにて発表します。

Part 1| 2026年11月27日(金)~11月29日(日)
企画者 米川幸リオン
企画名 「(あるいは)限界ニュータウン」
バブル期の都市開発で生まれ、崩壊後に取り残されたニュータウンをモチーフに、言葉・美術・音・映像それぞれのふるまいをとおして、離れた時間と場所に属する出来事や風景を、〈今・ここ〉に現象させるための上演。

Part 1|2026年12月18日(金)~12月20日(日)
企画者 李 文皓(リ・ウェンハオ)
企画名 「SOLO」
インドネシアの民謡「ブンガワン・ソロ」が戦後アジアを旅していく軌跡を辿りながら、移民、翻訳、文化の循環に関する歴史を探求するレクチャー・パフォーマンス。


dot部門

会期中、特定の日時に開催します。入場無料。

Part 1|2027年1月29日(金)~1月31日(日)
企画者 豊田ゆり佳
企画名 「それ私が代わりにやっておきます」
観客を指示者、パフォーマーを被指示者とし、デジタル媒体によって間接的で屈折したコミュニケーションのありかたを示すパフォーマンス型インスタレーション。

Part 2|2027年2月5日(金)~2月7日(日)
企画者 大竹紗央、パク・ジユ
企画名 「Habitable Zone(居住可能圏)」
日韓のアーティストが、制度的な関係性を越え身体的に隣り合うことを試みる、布・糸・声を用いた参加型インスタレーション。


公募企画に加え、TOKAS企画によるプログラムを開催します。入場無料。普及プログラムは要予約。

TOKAS推奨プログラム

Part 2|2027年1月9日(土)~1月24日(日)
企画者 Joaquín ARAS(ホアキン・アラス)
企画名 「Memory is a film(仮)
2024年度にTOKASに滞在したアルゼンチン拠点のアーティストによるインスタレーション。無声映画時代に日本で隆盛していた「活動写真弁士」を起点に、映画、感情、そして記憶の関係性を映像とサウンド、オブジェクトをとおして探究する。


TOKAS普及プログラム

Part 1| 2026年12月5日(土)、6日(日)
企画者 青柳菜摘、細井美裕
企画名 「本郷で/描線を/聞く ― 観察するための音声ガイド創作ワークショップ」

2025年度に「『TOKAS本郷ガイドマップ』音声ガイド」の制作に携わった青柳菜摘と細井美裕によるワークショップ。TOKAS本郷周辺を探索・観察して、参加者それぞれが音と声を使って自由に音声ガイドを創作し、見慣れた景色や、場をとりまく環境への、新しい視点を探究する。

募集概要

募集期間
2026年2月19日(木)~3月17日(火)
応募総数
482企画
審査員川崎陽子(KYOTO EXPERIMENT 共同アーティスティック・ディレクター)
小林晴夫(blanClass ディレクター)
畠中 実(キュレーター、美術・音楽批評)
近藤由紀(トーキョーアーツアンドスペース プログラムディレクター)

審査員による総評

川崎陽子(KYOTO EXPERIMENT 共同アーティスティック・ディレクター)

今回初めて審査に参加し、国内からの応募はもとより、海外からの応募数の多さに驚きました。それだけ、このOPEN SITEという公募枠の注目度が高まっていることを感じると同時に、ジャンルや表現方法を横断する実験的な試みのプラットフォームとして、この枠組みが認知され、また機能していることを実感しました。面接まで残った企画はいずれも拮抗しているものが多く、選出のプロセスはとても悩ましいものでしたが、なぜ、いまこの枠組みで、そしてTOKASで発表する必要があるのか、という観点も重視しながら審査を行いました。結果として、選出された企画はそれぞれに独自の視点があり、そして、なぜそのテーマを企画や作品の中心に据えたのか、という強い必然性があるものになりました。その必然性の出発点は、個人的な背景であったり、長年のリサーチに基づくものであったりさまざまですが、間違いなく、いまわたしたちが生きているこの社会と時代を反映しているものであると思います。 選出企画の実現を、楽しみにしています。


小林晴夫(blanClassディレクター)

今回のOPEN SITEは、昨年以上に海外からの応募が目立った。Instagramなどによる公募告知の影響もあってか、これまで以上に海外で活動するアーティストたちとの距離が縮まってきたように感じられた。また、年々応募企画のクオリティーが向上している感があり、いずれが選出されても遜色のない、高レベルな選考になった。 完成度の高い企画が多かったからこそ、あらためて「実験性とは何か」について考えさせられる局面もあったが、今回は特に、TOKAS本郷のコンパクトな展示スペースで発表する意義についても考慮しながら審査にあたった。そのことが、キュラトリアルなグループ展よりも、個展やコラボラティブなチームによる制作の方に、やや有利に働いた面はあるかもしれない。 最終的に選出された企画は、アーティストが対象とする場所、地域、拠点、あるいはメディアも含めた領域のなかで、多様な階層に存在する問題へと、あくまで個人の立場からアプローチするような表現が揃ったと思う。


畠中 実 (キュレーター、美術・音楽批評

OPEN SITEでは、現在のさまざまな社会の状況を反映した、同時代的でかつ実験的な表現であることが求められる。今回の応募企画は、各審査員の評価のばらつきが少なく、総じて実現への期待が高かった。それは、均質的、画一的、ということではない。むしろ、実施企画はどれもが異なるアプローチで、アーティストとしてこの時代に対峙していると言えよう。また、面接におけるプレゼンテーションも、それが問題になるようなことはほぼなかったし、いろいろな意味で企画および企画者の期待値と能力はとても高いレベルにある。ゆえに最終審査はやや難航し、どこが決め手になるのか、という部分で議論が分かれた。最終的にそれがどう実現されるか、実現された場合にどうなるか、それは展覧会として実現したときに明らかになるだろう。キュレーターという職能は、最終的な場面で方向性などの手助けする役割でもあるのだが、ここではそれはできない。それでも審査というプロセスもまた何らかの協働なのだと考えたい。


近藤由紀(トーキョーアーツアンドスペース プログラムディレクター)

「時代に即した視点でこれまでにない表現を探求し、社会と向き合う創造的な企画」を募るOPEN SITEは、必ずしも新作だけを受け付けているわけではない。一方、「実験的、挑戦的な創作活動の支援」をミッションとするこの事業では、作家が新たな試みを実施できる場となることを目指している。そのため、選考では作品が企画者にとって、どう挑戦的なのかということは必ず議論になる。アーティストが時間と労力をかけて作品化した表現は、一回限りで消費されるものでは決してない。とはいえ、パッケージ化された完成作/企画の発表ツアーにこのOPEN SITEが組み込まれるというのは、面白みに欠ける。その企画をここで実施する意義は何なのか。こうしたOPEN SITEならではの思案を経て選ばれた今回の企画は、新作で構成された企画と旧作で構成された企画が入り混じっている。サイト・スペシフィックであるということはどういうことか、それが作品に、あるいは鑑賞者にどう影響するのか。改めて思いを巡らせた審査となった。

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