平成29年度二国間交流事業プログラム<ベルリン>を通じて、クンストラウム・クロイツベルク/ベタニエンで滞在制作中の金 瑞姫が個展「PORTRAIT OF THE CITY - Berliner Airports」を開催します。
PORTRAIT OF THE CITY - Berliner Airports
【会期】2017/6/17(土)-2017/6/28(水)13:00-20:00 ※オープニング 6/16(金)18:00-
【会場】Kunstquartier Bethanien, Raum139 (Marianneplaz 2, 10997 Berlin, Germany)
【作品解説】
都市をポートレートすることとは何か考える。分断の記憶を持ち、市民の意思で歴史を作り上げていくベルリンという都市に流れる時間を捉えることは可能だろうか。2011年、私はテーゲル空港を利用して初めてベルリンを訪れた。当時既にヨーロッパの主要都市として機能するドイツの首都ベルリンの空港がこじんまりとしたサイズであることに驚いた。数日後、友人に連れられてテンペルホーフ空港にいき、都市の中心部でありながら広大な土地がそのまま保存されていることに更に衝撃を受けた。そして滞在数ヶ月後、同年開港予定の新ブランデンブルグ空港の延期のニュースを知る。空港という存在が、この都市にとって何か重大な意味を持っているように感じた。
2013年、活動拠点をベルリンに移してから、このプロジェクトを本格的に始めるべくリサーチを開始した。ナチス政権下で建造され、東西分断時代には物資運搬の要となり、空港閉鎖後は市民投票により再開発を中止させ、現在は建築の一部を難民仮宿泊施設として利用しているテンペルホーフ空港。2011年の開港予定が延期され続け、現在も建設工事中である新ブランデンブルグ国際空港。新空港開港に合わせ閉鎖予定であったが、未だその運用を巡って議論が起きているテーゲル空港。急速に国際化していくベルリンという都市の未来に向かっていく変容と、ベルリン市民の歴史に対する認識と受容によって作られていく現在。新ブランデンブルグ空港、テンペルホーフ空港、テーゲル空港をめぐる状況は、まさにベルリンという都市を表しているように思う。
現在を写す未来、かたちを変えていく過去、終わらない現在。3つの空港をそれぞれのメタファーとして撮影することにより、複雑にからみあう時間軸を、この都市に流れる時間の在り方を捉えようと試みた。
金 瑞姫